年齢・性別でリスクも変わる
20歳未満飲酒がいけない理由
20歳未満の飲酒は法律で禁じられています。
これは、発達途上にある未成熟な心身にとってダメージを与えるからです。
人間の脳は思春期の間に大きく変わり、知性、理性、記憶力、想像力などの重要な能力が形成されていきます。この大切な時期にお酒を飲むことで、理性的な行動ができなくなり、学習意欲や集中力が極端に低下することが実証されています。
さらに、性ホルモンの量を減少させるため、性機能の発達に悪影響を及ぼします。
本人だけではなく、周囲の大人がお酒に近づけない、近づけない環境をつくることも重要です。
ポイント
- 人格形成にゆがみが出る
- 記憶力が低下する
- 性機能の発達に悪影響を及ぼす
女性だから気をつけたいこと
女性は男性よりもお酒に弱く、心身ともに影響を受けやすい体質です。
それは、男性よりもアルコールの分解スピードが遅く、血液中のアルコールが濃くなりやすい傾向があるからです。
このような理由により、濃度の高いアルコールが体内に留まりやすく、肝臓疾患やアルコール依存症にかかりやすくなります。さらに、女性が多量に飲酒すると、乳がんや骨粗しょう症のリスクが高くなると言われています。
また、女性のライフステージはいろいろな変化をします。
特に、妊娠中の飲酒は禁物です。妊娠中に摂取したアルコールは、胎盤を通って直接胎児に運ばれるからです。妊娠中の飲酒により、FAS(Fetal Alcohol Syndrome 胎児性アルコール症候群)を引き起こす可能性もあるため、絶対にやめましょう。
妊娠中だけでなく、授乳中は母乳を通じて赤ちゃんに悪影響が及ぶため、赤ちゃんの健康のためにもお酒はおやすみしましょう。
ポイント
- アルコール分解スピードが男性より遅い
- 血中アルコール濃度が、男性より濃くなりやすい
- アルコール依存症、乳がん、骨粗しょう症のリスクが高くなる
高齢者が陥りやすい問題
一般に高齢になるほど、アルコールの代謝能力が低下し、血中アルコール濃度が上昇しやすく、酔いやすくなります。しかし、中には代謝機能が低下したことに気付かず、若い時と同じ酒量を続けることで、臓器に障害を起こしやすくなります。
お酒とより長く付き合うためには、今の自分を知ることが大切です。自分に合った適量を心がけ、定期的な健康診断で自分の体調を知り、安心してお酒を楽しみましょう。
なお、近年では高齢者のアルコール依存症も増加しています。生きがいの喪失や配偶者を失った悲しみなど、寂しさや孤立感がその引き金となります。特に男性は、退職による孤立感を深めるようです。
高齢者のアルコール依存症は、肝臓障害や末梢神経炎などの身体合併症を引き起こします。依存症に陥らないためにも、若い時から正しいお酒の飲み方を知っておくことが大切ですが、体を動かしたり趣味を楽しむなど、社会とのつながりを保つようにしましょう。
ポイント
- 代謝機能が低下し、酔いやすくなる
- 臓器障害を起こしやすくなるので、若い時よりも酒量を減らす
- アルコール依存症に陥らないため、生きがいを持ち、社会とのつながりを保つ
出典
- お酒と健康ABC辞典(キリンビール株式会社)