生活習慣病
飲み過ぎが、さまざまな臓器に悪影響
体内に入ったお酒の約90%は肝臓で分解されます。私たちが酔って爽快な気分のときも、肝臓は黙って働き続けています。
しかし、そのような肝臓さえも、絶えずお酒の処理に追われていると、働きが悪くなるのも当然。アルコール依存症の合併症として、約8割の人に何らかの臓器障害が認められると言われており、その中で肝臓障害が最も多く見られます。
脂肪肝
肝細胞内に中性脂肪が多量にたまり、肝臓全体が腫れて大きくなった状態のことです。アルコールの作用により、脂肪の分解が抑制され、かつ中性脂肪の原料になる脂肪酸の合成が高まるために起こります。1日に純アルコール30g(ビール500ml缶1.5本相当)以上をコンスタントに飲む人は、発症しやすいと言えます。
アルコール性肝炎
脂肪肝の状態が5年以上続き、かつ大量の飲酒を繰り返していると、肝細胞が炎症を起し壊されてしまいます。これをアルコール性肝炎と言います。肝臓が腫れて大きくなるとともに、吐き気、発熱、嘔吐、腹痛などの症状が現れます。
肝硬変
アルコール性肝炎の状態で飲酒を続けると、5年~15年で肝硬変になります。これは肝細胞が破壊された部分を自己修復しようとするときに生じた繊維(傷)がそのまま増加してしまうために起こり、肝臓全体が小さく硬くなっていきます。
肝がん
肝がんには、肝硬変から症状が進んでなる原発性肝がんと、他の臓器からがんが転移してきてなる転移性肝がんがあります。原発性肝がんは、B型およびC型肝炎ウイルスによるものが多く、アルコール性のものは少ないです。
楽しくお酒を飲むためには、無理な飲酒や過度な飲酒は避けるべきです。
「過剰飲酒」による精神・身体への影響
リスクが高まる飲酒量
「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」とは、1日の平均純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性で20g以上としています。
純アルコール40gをお酒に換算すると、ビール中びん2本(約1000ml)、清酒2合(360ml)、焼酎25度(200ml)、チューハイ7度(700ml)、ウイスキーダブル2杯(120ml)、ワイン4杯(400ml)に相当します。