研究員と研究テーマ
ムハンマド アラファト アル マムンさん(Md. Arafat Al Mamun)バングラデシュ出身
出身国での所属 | ダッカ大学 先端科学技術研究センター 研究主幹 |
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研究テーマ |
トランスポゾン誘発変異法による真正細菌バチルス・アミロリケファシエンスの二次代謝物生産の遺伝的制御機構の解明 |
研究室 | 食品生物機能開発研究領域 微生物機能ユニット |
アドバイザー | 木村 啓太郎 ユニット長 |
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私が日本に初めて来日したのは、2014年東京で開催されたノーベル賞受賞者も出席した第6回HOPEミーティングに参加した時です。この滞在中に日本で学び、研究を行いたいと強く願うようになりました。
その願いが叶い、日本で研究を行う機会を与えてくれたJICA、キリンホールディングス 農研機構食品研究部門(NFRI)には最大限の感謝の意を表します。
また、日本の方々の礼儀正しさ、誠実さ、規律を守る点や手助けをしてくれる点、日本の文化や自然もとても素晴らしく、ありがたく思っています。特に農研機構の周辺の家並みや農作業がされている田畑の景色などはとても魅力的で私はとても好きです。
農研機構は素晴らしい研究施設とともに高水準の研究環境を備えています。私はここで効果的に高度な研究成果を得るためにはどうすればよいか等、多くのことを学んでおり、そうして学び得たものはこれから私が自分の研究所や母国で研究を行う上でも非常に役立つことでしょう。
私は現在、微生物機能ユニットでアドバイザーである木村啓太郎博士のもとで「バチルス属細菌による二次代謝産物生産の遺伝的調節解明のためのトランスポゾン変異誘導」に関する研究を進めています。
この研究は代謝産物生成の遺伝的調節を解明することで、農業および食品生産における微生物農薬の普及を通じて化学農薬使用を減少させ、健全な環境を維持することにつながる非常に重要なものです。
アドバイザーである木村先生は分子生物学研究の全てを教えてくださり、その指導やアドバイスにより研究は順調に進んでいます。毎日研究が終わると「また明日」という言葉を掛けてくださるお蔭で、私は次の日の研究を考える元気が出ます。先生を尊敬するとともに心から感謝しています。また、研究室のメンバーも私をサポートしてくれるとても良い人たちで、その規律正しさと勤勉さは称賛に値するものです。
このJICA-KIRINフェローシップの参画する農研機構食品研究部門での先進的な研究によって、私はきっと素晴らしい経験を得られることと思います。
ムッツリ ヴェンカタ ラヴィ クリシュナ シャルマさん(Mutturi Venkata Ravi Krishna Sarma)インド出身
出身国での所属 | CSIR-中央食品技術調査研究所(CFTRI)、調査研究部、微生物・発酵技術学、科学者 |
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研究テーマ | 石灰処理された稲わら由来の関連酵素の工業的生産に関する研究 |
研究室 | 食品生物機能開発研究領域 生物資源変換ユニット |
アドバイザー | 徳安 健 |
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農研機構(NARO)で研究を行う機会を与えてくれたJICAとキリンホールディングスに心から感謝いたします。私の研究課題は複雑な稲わらを単糖に変換し、その糖を用いて産業価値をもつ酵素を微生物生産することです。まず、キチン分解酵素群に注目して研究を行っています。研究の目標は一つ目が目的の酵素の生産に関わる微生物の発見で、二つ目が微生物の成長と酵素の生産に有害な稲わらの加水分解物の中での発見された微生物の生存を確実にすることです。
なお、このテーマはインドに強く関係しています。インドでは莫大な量の稲わらが農業廃棄物として発生しており、それに持続性をもつ付加価値を付加することでいくらかの利益を生むことができます。
ここで、私を受け入れ心強いサポートをくれるアドバイザーの徳安先生に深く感謝申し上げます(そして彼のユーモアのセンスも忘れません)。そして研究室のメンバーの方々、いつも研究を助けてくれる山岸さんに池さん、そして私の農研機構(NARO)での生活でお世話になっている運営スタッフのマホさんとヘンミさんにもこの場を借りて感謝申し上げます。
日本の仕事環境はとても規律正しく集中できる環境だと思います。この滞在でその中に加われたことは私にとって喜ばしく名誉なことです。そして私自身も賢くなっていればうれしいです。本プログラムに参加した他の研究者の方々の成功と幸せを願います。
イェン ミン トゥンさん(Yin Min Htun)ミャンマー出身
出身国での所属 | ミャンマー農務省(ネピドー)、農業部コメ課、技術官 |
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研究テーマ | 主要穀類粉末に発生するフモニシン誘導体の検出と定量分析 |
研究室 | 食品安全研究領域 食品化学ハザードユニット |
アドバイザー | 中川 博之 上級研究員 |
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まず初めに、私にポストハーベスト食品科学と栄養管理技術に関する分野の研究員フェローとなるための貴重な機会を与えてくれたJICAとキリンホールディングスに多大な感謝を申し上げます。また、農研機構食品研究部門(NFRI)による受け入れと、私が日本で快適な生活を滞りなく送るための全般的なサポートにも深謝いたします。
このプログラムのおかげで私にとって二回目の来日をすることができましたが、山形大学農学部(鶴岡市)で修士課程を修めた2011年からずっと日本の素晴らしい環境を恋しく思っていた私にとって本当に嬉しく思います。
食品は基本的に私のバックグラウンドである農業によって供給されますが、食品の安全確保はミャンマーで私の所属する組織(農業部)の目標の一つでもあります。ここで、何より重要なことですが、私のアドバイザーである食品安全研究領域の中川博之上級研究員と久城真代食品化学ハザードユニット長に心より感謝を伝えたいです。彼らの有意義なアドバイスや指導、熱意、発想、知識と、その多大な尽力を活用し私はフモニシンやアフラトキシンといったマイコトキシン(カビ毒)分野の研究について学びたいと考えています。
故郷であるミャンマーに戻った時には、私がこのプログラムで得た知識や経験、技術をミャンマーの農業での栽培効率や生産性、加工技術の向上などの形で食品安全の分野に効果的かつ効率的に活用することをきっと約束します。
チラポーン アナンチャイパッタさん(Chiraporn Ananchaipattana)タイ出身
出身国での所属 | ラジャマンガラ工科大学タンヤブリ校 生物学部 助教授 |
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研究テーマ | タイの伝統的発酵食品から分離したバクテリアが生産する抗菌ペプチドの解析 |
研究室 | 食品安全研究領域 食品安全性解析ユニット |
アドバイザー | 岡本 晋 ユニット長 |
コメント
まず初めに、JICA-Kirinフェローシッププログラムへ参加する貴重な機会を与えてくれたJICA、農研機構食品研究部門、ラジャマンガラ工科大学タンヤブリ校と、このプログラムのスポンサーとなっていただいたキリンホールディングスに心からの感謝の意を表します。
そして私のアドバイザーであり、食品安全性解析ユニットでの研究の機会と研究計画への提言をいただいた岡本晋博士に格別の感謝を申し上げます。食品安全性解析ユニットのメンバーの皆はとても親切で、親しみやすく、そしてなによりもわたしを温かくサポートしてくれます。
また、私が博士号取得のために2010年から2013年まで筑波大学で行った研究において、アドバイザーとしていつも私に助言をしていただいた同部門食品衛生ユニットの稲津康弘博士にこの場を借りて心から感謝申し上げます。当時研究活動を手助けしていただいた食品衛生ユニットの皆さまにも感謝を申し上げます。
私の主要な研究テーマはタイの伝統的発酵食品から分離したバクテリアが生産する抗菌ペプチドの解析です。食品の保存は世界中のほぼ全ての国において大きな関心事です。抗菌ペプチドの解析は消費者にとって有毒性が無い食品の保存方法に応用できるため、注目を集めている研究です。
バイオプリザベーションの分野での研究は化学的保存に代わる魅力的な保存方法の発見につながることが期待されています。このプロジェクトから得られた成果は私の行っている食品保存に関する研究に役立つでしょう。さらに、私はここで得られた経験や技術をタイにいる私の生徒や仲間の研究者達に伝えるつもりです。
最後になりますが、筑波は美しい街です。私はつくば市の周りの様々な樹木が一年を通して緑から黄、そして白にその色を変えていくのを見るのが好きです。タイに戻る前にまた白くなった木々を見ることができれば良いと思っています。
ホア ティ ミン トゥさん(Hoa Thi Minh Tu)ベトナム出身
出身国での所属 | ベトナム科学技術院(VAST)バイオテクノロジー研究所(IBT)研究員 |
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研究テーマ | 高静水圧処理の活用に関する基礎研究 |
研究室 | 食品生物機能開発研究領域 微生物機能ユニット |
アドバイザー | 稲岡 隆史 上級研究員 |
コメント
ベトナムは人口の70%が農業で生計を立てている農業国です。しかしながら、農産物や海産物の生産に関し、特に食糧安全保障の面で現在数え切れないほどの困難に直面しています。
そこで、生産者が国際的な食品衛生基準を満たすのに役立つ食品の加工や保存技術に関する課題への適切な解決策の発見が必要とされています。日本は先進国であり、また多くの発展的で非常に優れた食品技術を有していることが広く知られています。私はこの分野の研究者として日本で研究する機会を得ることを夢に見つづけ、幸運にもそれを叶えることができました。
このプログラムから得た研究経験や知識によって、私自身がこれから研究者として大きく成長できることはもちろん、母国であるベトナムの食品や農産物の品質の向上にこのプロジェクトで得たもので貢献できれば素晴らしいと考えています。
IBT-VAST、JICA、キリンホールディングスと農研機構食品研究部門にはこの素晴らしい機会を与えてくれたことに心からの感謝の意を伝えたいと思います。また、私の研究の手助けをしてくれている稲岡先生にも深謝しています。先生の指導のもとで研究を行えることはとても幸運なことだと感じています。最後になりましたが、微生物機能ユニットのメンバーの方々も私にとても親切で、日本での滞在は皆さんのおかげでとても楽しいものになっています。この生活の思い出はずっとわたしの心に残ることでしょう。