国連大学キリンフェローシップ卒業生

ル シンさん(Lu Xin)中国出身

出身国での所属河南農業科学アカデミー 農産品加工研究所 アシスタント研究員
研究テーマ精密ろ過、限外ろ過、逆浸透など、膜分離技術を用いた、食品素材から可変成分の分離に関する研究
研究室反応分離学工学ユニット
アドバイザー蘒原 昌司 主任研究員

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私の生まれ故郷は秋になると様々な種類の美しい菊の花が咲く、中国の開封という都市です。私はこれまで10年にわたり食品科学を学んできました。河南工業大学でB.S.(学士)、江南大学でM.S.(修士)、そして中国農業大学でPh.D(博士)を取得しました。食品科学は自分にとって本当に楽しく興味深い分野で、一生を食品科学に捧げたいと考えています。私は誠実で、前向き、誰とでも仲良くなれます。

この素晴らしい機会を与えてくれた国連大学、キリンホールディングス、そして食品総合研究所(NFRI)には深く感謝しています。
アドバイザーや専門家の指導、そして同僚の支えにより、NFRIでのフェローシッププログラムを通して学識を深め、人としての視野を広げることができると確信しています。帰国後は、母国の研究所の発展に、更にしっかりと貢献したいと思っています。また、地元の人々との交流を通じて、日本と中国の文化の共通点、相違点を知り、双方の理解、信頼、そして交流を深めたいと思います。

ナニック プルワンティさん(Nanik Purwanti, Ph.D.)インドネシア出身

出身国での所属ボゴール農業大学 機械工学・バイオシステム工学部 講師・研究員(2005年1月1日より)
研究テーマ新しい技術での機能性食品成分/精油を被包化のためのナノ粒子の開発
研究室先端加工技術ユニット
アドバイザー小林 功 主任研究員

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研究目標は、精油を被包化するために、ナノ粒子を新しい技術で開発することです。この研究は2つのパートに分かれます。前半は、材料(カプセルの組成物、剤皮の素材や溶剤、界面活性剤)の識別と選択、そして構成の決定です。後半は、ナノチャネル乳化を用いたナノ粒子の生産です。このチャネルは、マイクロチャネル乳化に基づいた、食品総合研究所(NFRI)の先端加工技術ユニットで生み出されました。ナノチャネル乳化はナノテクノロジーにおいて斬新な技術で、他のトップダウン型の技術手法と比べてオペレーションが容易で、エネルギー消費量も少なくすみます。生産過程においては、ナノチャネル乳化の利用は、ボトムアップ手法を用いた過程よりもシンプルです。分散相は、大きなテラスに向かってチャネルを通過して注入されます。圧力の違いが分散相をテラスで膨張させ、テラスの端に達するとすぐに形成された粒子がもぎとられたように外れます。このようなナノ粒子生産におけるナノチャネル乳化のメカニズムとパフォーマンスを研究していきます。

今回来日するにあたり、2008年に初めてNFRIを訪れた時のことを思い出しました。当時私はオランダの博士課程1年目で、NFRIの鍋谷教授に、いつか自分もここで研究がしたいと話をしたことがありました。国連大学キリンフェローシッププログラムのおかげで今回私の望みが叶いました。私が興味を持っている研究分野は、食品と食物処理設計、流生学、食品構造、そしてマイクロナノテクノロジーです。後者は新たに関心を持った分野で、NFRIでの研究期間中に取り組んでいきたいと思います。NFRIの先端加工技術ユニットでは多くのことを学べると期待しています。日本での生活は、特に外出した時、日本語表示がわからず大変なのですが、2012年にも、10月から40日間日本を訪れる機会があり、その際に日本人が親切でとても好きになりました。その後新たに日本の友人が何人かできましたが、彼らは外国人に対しても思いやりがあり、困った時はいつも助けてくれました。今回の滞在で、彼らに再会することが楽しみですし、他にも新たな日本の友人を作りたいと思います。また、この機会に、読み書きを含めた日本語も習得できたら良いと思います。

ワナシリ ワナラットさん(Wannasiri Wannarat)タイ出身

出身国での所属カセサート大学、カセサート農業・農産工芸品改良研究所(KAPI)、ナノテクノロジー・バイオテクノロジーユニット、研究員
研究テーマ食品総合研究所(NFRI)滞在中に、3つのプロジェクトを計画しています。1つ目がストレプトマイセス属の放線によって生成されるベンゾイソクロマンキノン系抗生物質の生合成経路を解明することです。2つ目は、微生物の圧力ストレス反応と大腸菌の酸性耐性機構における微生物のメカニズムを分析すること。そして3つ目は、細菌の中で酵素または抗生物質を活性化させる新たな突然変異の分子分析を確認し研究することです。
研究室生物機能解析ユニット
アドバイザー岡本 晋 ユニット長

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私は微笑の国として知られるタイの南部で、大家族の中で生まれ育ちました。高校の頃から科学が得意で自然が大好きで、両親が私たち兄弟に好きな道を選択させてくれたので、大学で生物を専攻し、今はこうして夢に描いていた研究員という職業に就くことができました。余暇の過ごし方で、一番好きな事は旅行です。新しい場所を訪れ、芸術、地元の料理、音楽、そして文化を体験することが本当に楽しいからです。私が国連大学キリンフェローシッププログラムに申し込んだ理由は、最先端の研究室で一流の科学者たちと働きながら、二次代謝の分野での自分の研究を極めたいと思ったからです。NFRIの生物機能解析ユニットは他に類を見ない研究所です。このプログラムでは、アドバイザー、フェロー、国連大学とNFRIのスタッフのサポートにより、すばらしい経験ができると信じています。日本や日本文化のことももっと知りたいと考えています。タイにいる頃は、テレビのドキュメンタリーや本を通して日本についての知識を得てきましたが、自分の目、耳、手、そして心で本当の日本を探求したいと思います。

レ シィ トゥ ホンさん(Le Thi Thu ong)ベトナム出身

出身国での所属ベトナム科学技術アカデミー(VAST)、バイオテクノロジー研究所(IBT)、遺伝子工学研究室 研究員(1999年から)
研究テーマ実用菌株の二次代謝産物の遺伝子的改善
研究室発酵細菌ユニット
アドバイザー木村 啓太郎 主任研究員

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私はハノイ工科大学の生物学で学位(B.Sc.)を取得しました。その後、ベトナム教育訓練省からドイツで博士課程に進学できる奨学金をもらい、エルンスト・モーリッツ・アルント大学の理学部と医学部で、2007年に分子生物学博士号(PhD)を取得しました。1999年から現在までは、ベトナム科学技術アカデミー(VSAT)バイオテクノロジー研究所(IBT)遺伝子工学研究室(GEL)で研究員をしています。

キリンホールディングスのサポートによる国連大学キリンフェローシッププログラムについては、感謝の気持ちでいっぱいです。日本人の科学者の皆さんとご一緒できる素晴らしい機会ですし、知識を深めるための大きな手助けになると考えています。このプログラムを通して得られる経験は、ベトナムでのこれからの自分の研究キャリアにも非常に役立つと思います。私は農業と医療分野で用いる突然変異生成と開発に関するオーミクス(全ての学問分野)の領域に興味を持っています。以前、短期の科学者交流で日本に招待されたこともあり、その時の日本の文化、精神、仕事の能力の高さが、深く印象に残っています。
日本での研究や経験で成長できることを楽しみにしています。

ティラビアム ヴァニタさん(T. Vanitha)インド出身

出身国での所属中央食糧技術研究所 Central Food Technological Research Institute (CFTRI) 青果物工学部研究員(2009年8月20日から現在に至る)
研究テーマ機能性包装材料を用いて包装した青果物の貯蔵期間延長に関する研究
研究室流通工学ユニット
アドバイザー椎名 武夫 ユニット長

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私は、マイソールの科学工業研究委員会/中央食糧技術研究所の青果物工学部で研究員として働いています。また、食品加工の分野では博士号を持っています。国連大学キリンフェローシッププログラムでは、先端食品科学や加工技術に関する研究開発活動を通して、貴重な経験を積むことができると期待しています。機能性包装という考え方は、最近になってから出てきたもので、包装材料にしっかりした遮断性を持たせる以外に、付加特性を持たせることを狙いとしています。例えば、食品を劣化させる微生物を防ぐほか食品の色や香り、食感を向上させる特性があります。また、これらの包材は食べてしまっても問題がなく、無毒で、しかも生分解します。バイオナノ粒子を用いたこの包材を使うことで、食品の賞味期限を長くし、機能的特性も引き出してくれるため、有効な選択だと思います。自身の研究以外でも、食品総合研究所(NFRI)の他の科学者の皆さんと、交流や議論の場を持ちながら、食品科学分野において、最新の知識を持ちたいと思っています。NFRIで充実した経験ができることを楽しみにしています。