インタビュー 蒲鉾本舗「高政」 高橋さん

  • いわば全員がチャレンジャー。蒲鉾本舗「高政」 取締役社長室室長 高橋 正樹さん

四代目の正樹さんをはじめとし、企業ぐるみでまちづくりをけん引してきた蒲鉾本舗「高政」。女川を代表する名産品を製造していることを活かし、絆プロジェクトが応援している「あがいん(again) おながわ」ブランドの商品開発、販路の拡大、事業拡大による雇用の創出など、まちそのものの価値をあげていく取り組みも積極的に行っている。

「女川で生きていく」と宣言したかった

震災後は働く場所がなくて、生きるために他の土地に行かざるを得なかった人も、離れていった人もたくさんいました。
町がどんどん絶望に染まっていく中、とにかく何か動かないといけない!と強く感じました。その中で「高政」にできることをふりかえった時、一刻も早く工場を稼働させて働く場を作り、何よりも自分達自身で「女川で生きていく決意」を示したいと思いました。
他にも同じような危機感や想いを持っている人達はたくさんいて、若いメンバーだけでなく60~70代まで、自然にみんなつながって一緒に仕掛けを作っていこうとなりました。

「あがいん(again)おながわ」に込めた想い

女川の食材を使った「あがいん(again) おながわ」のブランディングは、女川の海、女川の人、女川の空、女川そのものを、よりたくさんの方に感じてもらうためのコンテンツづくりだと思っています。
“あがいん”は女川弁で「召し上がれ」を意味する言葉。女川人のおもてなしの気持ちも伝わる。さらに、英語で書くと「again」。幸せを取り戻すという意味もあるんです。これ考えたコピーライター、いい仕事しますよね!実は僕なんですけどね(笑)。

「絆」という言葉に感じる違和感と、本当の絆

実は「絆」という言葉、嫌いなんです。震災後すごく世の中で使われて、どんどん薄っぺらくなってしまいました。僕らは落ち込んでないし、まちづくりを楽しんでいる。悲壮感なんてないんです。その点キリンさんは同じ目線で、本当に僕らの気持ちをわかってくれているなと思います。だから、「絆」って言われて違和感のない数少ないパートナーです。

枠をガッツリ超えて、一緒に楽しむ姿勢

キリンの「絆」っていうと僕は受け入れられるんです。なぜなら、本当に僕らの未来に対して糧になるかどうかを主眼に置いて、一緒にやってきた実績があるから。そして、何よりも企業のCSRの枠をガッツリ超えたところで、一緒にまちづくりを楽しんでくれている。
例えば、普通は被災地でお酒のイベントなんて不謹慎といわれたりもするんです。でも、それもちゃんと町民のことをわかって提案して、みんなを巻き込んでいられるのは、本気でやっているということ、楽しんでいることが町民にも伝わるからだと思います。

誰かが何かをスタートする時、選ばれる街になりたい

まだまだ女川のまちづくりは続くし、乗り越えないといけない壁は多いと思います。その時に一緒に乗り越える仲間がいることは本当にありがたいです。
でも、イチからまちづくりをしている僕らは、いわば全員チャレンジャーなんです。キリンさんの「絆プロジェクト」も含めて、女川人以外でも誰かが何かをスタートする時に一緒にやろう!楽しもうぜ!といえる街、選ばれる街になりたいです。