ステークホルダーエンゲージメント

キリングループのステークホルダー

キリングループでは私たちが最も大切にする経営指針であるCSV(社会と共有できる価値の創造)の実現に向けて、事業を通じた6つのステークホルダーとの関わりが重要だと考えています。

  • ステークホルダーとの協働

主要課題・共創する価値主に関係する部門主なエンゲージメント手段
お客様 確かなものづくりの技術によって、お客様の期待に応える高い品質を追求し、「食と健康」を通じて世界の人々の健康、楽しさ、快適さに貢献する。 コーポレートコミュニケーション部
(お客様相談室含む)・
CSV戦略部・品質保証部・
ヘルスサイエンス事業部・各事業会社
広報活動(自社ホームページ・SNS・工場
見学・マスメディア対応)・お客様相談室(お問い合わせ対応)・各種イベント・品質
保証活動・生産活動・営業活動
株主・投資家 コーポレートガバナンスのさらなる充実、中長期的な企業価値の向上のために、情報開示の充実、建設的な双方向の対話を行う。 コーポレートコミュニケーション部・
CSV戦略部・人財戦略部・秘書室・
財務戦略部・IR室・
法務部・調達部
統合レポート・自社ホームページ・
環境報告書・ESG評価機関との対話・
決算説明会・投資家向け説明会・
株主総会
地球環境 お客様をはじめ広くステークホルダーと協働し、自然と人にポジティブな影響を創出することで、こころ豊かな社会と地球を次世代に広げる。 CSV戦略部・各事業会社 各種イニシアティブへの参画
ビジネス
パートナー
全てのビジネスパートナーと持続可能な社会の実現に向けた公正な取引を通じて信頼関係を築き、お客様によりよい商品・サービスをお届けする。 CSV戦略部・人財戦略部・法務部・
調達部・各事業会社
サプライヤーエンゲージメント・
サプライヤーホットライン・サプライヤー説明会・調達活動・営業活動
コミュニティ 事業活動を支える地域社会を大切にし、コミュニティの健全で持続的な発展に貢献する。 CSV戦略部・人財戦略部・
マーケティング戦略部・
調達部・各事業会社
社会貢献活動・人権に関する権利保持者
(ライツホルダー)とのエンゲージメント・
苦情処理メカニズム(全ステークホルダー
からのホットライン窓口)・
調達活動・事業でのコミュニティ支援活動
・営業活動
従業員 多様な人財が活き活きと働き、仕事を通じて自己成長を実感し、イノベーションに挑戦する組織風土の醸成に取り組む。 コーポレートコミュニケーション部・
人財戦略部・各事業会社
キリングループ内情報共有サイト・
各種研修・エンゲージメント調査・
社内表彰制度・ホットライン・労使協議

キリングループのエンゲージメントと実績

グループが掲げる持続的成長に向けた経営諸課題やグループ方針改定時など、社会から期待されるグループのあるべき姿を正しく捉えるためにも、ステークホルダーとのエンゲージメントを実施することで社会の声を戦略に反映し、事業を通じた、社会との価値共創を目指します。

サステナビリティ領域におけるお客様エンゲージメント実施にあたって(2024年7月)

キリングループはCSV経営を実現するために、ステークホルダーエンゲージメントを継続的に実施しています。今年度は、「キリン 氷結®mottainai」や「キリンビール 晴れ風」などの社会課題解決型商品の発売を機に、20代から60代までの幅広い世代の方々にご参加いただき、社会課題への取り組みやサステナビリティ意識に対してお客様から意見をいただきました。

当日の内容

1 社会課題やサステナビリティに対する意識・行動インタビュー
  1. 社会課題に関するお客様の意識・行動
  2. サステナビリティやSDGsに対する意識・捉え方
  3. 社会や世の中に良いことをしている企業の活動や想起するイメージ
  4. 「キリン 氷結®mottainai」「キリンビール 晴れ風」など社会課題解決型商品に対する取り組みとお客様の印象
  5. お客様が期待する未来について。企業やキリンへの要望
2 いただいたご意見の一部
  1. サステナビリティやSDGsはなんとなく理解はしているものの、日常的にサステナビリティやSDGsを意識して自分ごととして行動する機会は少ない。生活者が自然と参画できる仕組みを企業主導でつくってほしい。
  2. これからの持続可能な未来を考えるにあたって「環境問題」「食料問題」「資源・エネルギー問題」「住み続けられる街づくり」は自分ごととして認識しやすい身近な社会課題。年齢があがるにつれ、地域貢献や健康寿命などへの関心が高まっている。
  3. 「キリン 氷結®mottainai」はフードロス削減や生産者支援など解決している社会課題が明確でわかりやすく、自分も商品を購入することでその仕組みを支持したい。

お客様から寄せられた社会課題や商品に関するさまざまなご意見をもとに、社内関係部へフィードバックを行い、未来のアクションにつなげるディスカッションを行いました。これらの意見内容は、キリングループの経営戦略に反映させるべく今後も継続的に議論を行って参ります。

廃棄プラスチック問題を解決するための活動にあたって(2023年9月)

キリングループは廃棄プラスチック問題の解決に向け、廃棄プラスチックを極小化し、循環型社会を実現する解決策の提案や活動支援を行っているAlliance to End Plastic Waste(AEPW)に参画しています。世界的な非営利団体である同アライアンスのメンバーには、プラスチックのバリューチェーンに関わる70社以上の企業と、地域社会、市民団体、政府間組織、政府機関をが世界各国から参画しています。今回AEPWのプラスチック循環社会に関するサミットが東京で開催されたことから、キリンビール横浜工場へAEPWメンバーにお越しいただきキリングループのプラスチック循環に関する考え方やこれまでの取り組みを発表し、意見交換を行いました。

当日の内容

1 キリングループのプラスチックに関する取り組みの説明
  1. キリングループのCSV経営への取り組みと環境への統合的アプローチを説明
  2. 容器包装に関する事例、主にケミカルリサイクルへの取り組みを説明
  3. 上記取り組みへのステークホルダーや外部団体からの意見を共有
  4. パッケージイノベーション研究所の紹介と開発パッケージの紹介
2 意見交換
1 AEPWアライアンスメンバーの皆様からのご質問・ご意見
  1. ケミカルリサイクルが既存のメカニカルリサイクルの取り組みと背反するのではないか
  2. ケミカルリサイクルのメカニカルリサイクルに対するコストについてはどの程度であるのか
  3. ケミカルリサイクルは技術そのものを独自に開発しているのか、そうであればライセンス契約などを実施するのか
2 いただいたご質問・ご意見を踏まえた回答
  1. ケミカルリサイクルはメカニカルリサイクルを否定するものではなく、混合して運用していくことが重要であると考えている、特に日本ではPETボトル回収率が90%以上あり混合運用が重要
    加えてメカニカルで使用できない廃プラスチックも活用できるところに革新性がある、そのためメカニカルリサイクル事業者からの反発やネガな反応は現状ではない。
  2. 現状ではコストが高い、ただしこれはまだまだ規模が小さいためであるととらえている、2027年までにはメカニカルリサイクルと同程度のコストを目指すために我々自身の手でもケミカルリサイクルの工場を立ち上げ、規模を拡大していくことでよりよいプラスチック循環社会を実現していくことである
  3. 独自開発ではなく、既に実用化している事業者も存在している、よってライセンスそのものも保持しているわけではない
    重要なことは、我々がケミカルリサイクルを推進していくことでこれまで廃棄されてしまっていたメカニカルリサイクルに適さない廃プラスチックを供給するサプライヤーを広げていくことである

これらの意見交換内容については、キリングループ内のグループ環境会議等でも課題として取り上げており、今後も継続して前向きに取り組んで参ります。

3 その他

当日はAEPWとの意見交換に加えて、メディアの皆様ともAEPWとアライアンスメンバーとしての当社の取り組みについて意見交換を行いました。内容は以下の通りです。

  1. AEPWのご紹介、AEPWの国際NPOとしての役割
  2. プラスチック資源循環推進における期待される企業および消費者の役割
  3. プラスチック資源循環の実現に向けた課題
  4. プラスチックバリューチェーン全体での連携の必要性
  5. 日本における課題

サプライチェーンの人権リスク評価と活動計画の策定にあたって(2022年5月)

新たな中期経営計画のスタートにあたり再評価した「持続的成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM)」において人権を最重要課題の一つとして位置付け、より一層の人権尊重に向けた取り組みを推進しています。今回は、その一環でサプライチェーンの人権に関する内容を中心に外部有識者と人権に関するダイアログを実施し、これまでの取り組みや今後に対する意見交換を行いました。

(ご参加者)

  • BSR 東京事務所 マネジング・ディレクター 永井 朝子氏

(社内)

  • キリンホールディングス株式会社 常務執行役員(人事総務戦略担当) 坪井 純子

  • キリンホールディングス株式会社 常務執行役員(SCM戦略、生産技術戦略担当) 前原 正雄

当日の内容

1.キリングループの人権への取り組み説明
  1. 取り組みの歴史(40年以上続けている従業員中心の啓発活動に加え、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」が発表されて以降は、あらゆるステークホルダーへも取り組みを拡大)
  2. これまでのサプライチェーンの取り組み(調達方針・サプライヤー規範策定およびサプライヤー様への周知活動、サプライヤーアンケートを通したリスクの把握、リスク評価に基づく人権デューデリジェンスの実施など)
  3. 今後の人権デューデリジェンスの実施計画(調達国・品目別のリスク評価結果、2022年以降の人権デューデリジェンスの計画)
2.BSR永井様からの情報提供
  1. 欧州における人権・環境デューデリジェンスの法的義務化の動き
  2. 日本国内における「ビジネスと人権」に関する行動計画
  3. 証券取引当局によるESG開示の義務化など増加する規制に対し企業が想定すべきこと
3.意見交換
  1. BSR永井様からのご意見
    • 人権デューデリジェンスを通して地域社会へポジティブな影響を与えることが重要であるため、その点を意識して取り組みを進めてほしい。
    • サプライチェーンにおける外国人技能実習生・特定技能外国人の課題は、各サプライヤーに該当者がいるか否かの調査は済んでいるため、優先順位を決めた上で、総合的に判断して取り組むべき。
    • キリングループのホームページ上では人権に対する取り組みがまとまって掲載されていないためにアクセスしづらい。レインフォレストアライアンス認証取得支援などで、これまでも人権に関する取組みも行っており、そのような取組みが簡単に見えるように情報のアクセシビリティを高めた方が良い。
    • キリングループが様々な人権の取り組みを進めていることは評価しているが、世界のCSV先進企業を目指し、さらに加速していく必要がある。人権推進体制のさらなる充実も検討してはどうか。
  2. 意見交換を踏まえた今後の対応
    2022年6月24日に開催したグループ ビジネスと人権会議にて、人権ダイアログにていただいたご意見を踏まえて、下記の通り、今後取り組みを進めていくことと致しました。
    • 人権デューデリジェンスで発覚した問題に対し、その根本原因の解決を進め、地域社会へポジティブな影響を与えていくよう取り組んでいく。
    • サプライチェーン全体に関わる課題の早期発見と解決に向け、グリーバンスメカニズムを導入し、外国人技能実習生・特定技能外国人の課題についてもその中で対応を検討する。
    • ホームページ上の人権取組みの開示構成を見直し、よりアクセシビリティの高い内容に改善していく。
    • 2027年の目指す姿に向けた人権活動を遂行していく上で必要な人権の取り組み体制強化を図る。

CSVパーパス(長期非財務目標)策定とCSVコミットメント更新にあたって(2018年10月)

長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(以下、KV2027)」において、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを目指すことに決め、長期非財務目標として、社会と価値を共創し持続的に成長するための指針「キリングループCSVパーパス」を新たに策定しました。また、CSVパーパスの中長期アクションプランである「キリングループCSVコミットメント」を更新しました。これらを策定するプロセスで、外部有識者とのダイアログを開催し、いただいたご意見をCSVパーパスとCSVコミットメントに反映しました。

(ご参加者)

  • フィデリティ投信株式会社
    ヘッド オブ エンゲージメント
    三瓶 裕喜氏

  • 慶應義塾大学 大学院
    政策・メディア研究科 教授
    蟹江 憲史氏

  • 独立行政法人国立病院機構
    久里浜医療センター
    松﨑 尊信氏

(社内)
キリンホールディングス株式会社 常務執行役員(CSV戦略担当) 溝内 良輔
キリンホールディングス株式会社 執行役員 CSV戦略部 部長 野村 隆治

いただいたご意見の一部

CSVパーパス
  • マネジメントや社内浸透を考えると定量化が望ましい。
  • 例えばミャンマーやスリランカの取り組みでは貧困救済にも貢献するのでは。遠慮せず、社会貢献している部分はアピールすべき。その際にグローバルでの共通言語であり、急速に浸透しているSDGsを活用してはどうか。
CSVコミットメント
  • 項目表現が堅い。興味・関心を誘導するような表現でなければ、従業員をはじめとしたステークホルダーの理解に落ちない。
  • 投資家は、競争力のある相対的な企業価値向上を期待している。結果として何を生み出すのか明確に示してほしい。
  • 現実的な積み上げではなくSDGsの視点から、長期ビジョンを描いてほしい。
  • リスクの側面だけ見ると、アルコール事業にとって非常に厳しい環境になりつつあるが、それに対して業界一丸で取り組み、そこから可能性を拡げていくことが、キリングループとしてのあり方ではないか。「スロードリンク」は非常に分かりやすい提案だと思う。

コミットメント策定にあたって(2016年11月)

2016年6月に開催されたグループCSV委員会※1において、グループとして取り組むべき社会課題について議論し、最重点に取り組む課題を決めました。その後、事業会社および関連部門等と議論を重ねて、CSVストーリーおよびコミットメントが完成しました。策定にあたっては、社会の視点を取り入れるためにグローバルのガイドライン等を参考にするだけでなく、外部有識者とグループCSV担当役員等によるダイアログを開催し、いただいたご意見もコミットメントに反映しました。

  1. キリングループがCSVを積極的・自主的に推進していくために、原則、年に一度キリンホールディングス社長が委員長となり、開催。

(ご参加者)
株式会社大和総研 調査本部 主席研究員 河口真理子氏
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所] 代表者 川北秀人氏

(社内)
キリンホールディングス 常務執行役員 CSV戦略担当 橋本誠一
キリン(株) 執行役員 CSV推進部長 林田昌也
キリンホールディングス グループCSV推進室長 森田裕之 (2016年12月現在)

いただいたご意見の一部

アルコール関連問題
今までの取り組みの有効性評価が重要。患者さんや医師とも対話し、課題と向き合った対策・啓発プログラムにしてほしい。
健康
世界共通の課題である医療費の増大に対するチャレンジとして、よい取り組みだと思う。
地域社会
日本のホップとワインは自社製品向け調達だけでなく、観光など地方創生の観点から持続可能なビジネスとして盛り上げていってはどうか。

※所属(内容)は掲載当時のものになります。