メルシャン株式会社(本社:東京、社長:植木 宏)は、11月21日(土)に開催された「日本ブドウ・ワイン学会2009年度大会」にて発表した「魚介料理とワインの相性に関する一考察」において「大会発表賞」を受賞しました。
今回の受賞は、科学的根拠に基づいた「ワインと料理のマリアージュ」の提案をするための研究「魚介料理とワインの相性に関する一考察」の発表内容が評価されたものです。
ワインと料理の組み合わせは、ワイン用語で「マリアージュ(結婚)」といわれ、ワインを楽しむための重要な要素といわれていますが、ワインと魚介料理を別々に口にしたときには、それぞれがおいしく感じられるにもかかわらず、同時に口にした際にまれに不快な生臭いにおいや味が発生することがあります。そのような「組み合わせ」はワインと料理を楽しむことを避けてしまうひとつの原因であり、課題とされています。
そこで当社では「どうしたらワインと魚介料理を合わせたときに不快な生臭みが発生しないか」という点に着目し、ワイン中の「鉄」、魚介料理中の「過酸化脂質」、調理に使用する「油脂」の3つの観点から研究を実施しました。
その結果、ワイン中の「二価鉄イオン」と、素材の鮮度や調理の結果として蓄積する魚介料理中の「過酸化脂質」が口の中で反応することで、瞬時に「カルボニル化合物」を発生させ、生臭い「におい」として感じていることがわかりました。
また、この「生臭み」は、魚介を調理するときに使われるバターやオリーブオイルといった「油脂」が持つ、「におい物質を空中へ放散するのを抑える」という作用により、抑制されると推定し、その内容を同学会にて発表しました。
これらのことにより、油脂をほとんど使用しない素材を活かした魚介料理とワインを合わせるときには、「鉄が少ないワインを選ぶこと」がよいと考えられます。
一方で、よく知られた「ワインと料理の相性」の具体例を説明できる可能性があります。例えば、魚介料理にレモンを搾るのは、レモン果汁にワインの「鉄」を包み込む作用(有機酸の「鉄」に対するキレート作用)があるためであると考えられます。また、キャビアとシャンパンを合わせる際、サワークリームを添えることがありますが、これはサワークリームの乳脂肪の作用によって「生臭み」を感じないようにしていると説明できる可能性があります。
さらにこの研究内容の一部は、2009年10月31日(土)付イギリスの経済誌「The Economist」や、世界でも権威あるワイン専門誌「Wine Spectator」の2009年11月5日(木)付ホームページなど、多数の海外メディアにて紹介され、現在世界的にも注目されています。
当社は、この研究が食とワインの「おいしさ」の科学的な研究の根拠となり、相性の良い「ワインと魚介料理の組み合わせ」を発見するきっかけとなることを期待しています。
この受賞を励みに、今後も科学的根拠に基づいたより明確で具体的な「ワインと料理のマリアージュ」の提案を通して、お客様に「ワインのある豊かな食卓」を提案し、日本のワイン市場、食文化発展に貢献してまいります。
【受賞の概要】
◆学会名称 |
「日本ブドウ・ワイン学会(ASEV JAPAN)2009年度大会」 |
◆開催日・場所 |
11月21日(土) 広島大学(東広島キャンパス) |
◆賞名 |
大会発表賞 |
◆受賞内容 |
「魚介料理とワインの相性に関する一考察」 |
◆受賞者 |
田村 隆幸(メルシャン株式会社 商品開発研究所) |
|