2009年1月14日
キリンビバレッジ株式会社(社長 齋藤信二)は、2009年度の事業方針を策定しました。本年は、2010年以降の飛躍的成長に向けた事業基盤を構築する「次期中期経営計画のゼロ年度」と位置づけ、「収益基盤の構築」を図るとともに、「新たな競争軸の強みづくり」に取り組みます。
《2008年の概況》
国内清涼飲料市場は、7月は猛暑となったものの、8月・9月の天候不順の影響を受けたことや、猛暑であった2007年の反動、景気減速による消費マインドの低下などから、前年比2%減で着地した見込みです。このような中、当社では「生茶」「午後の紅茶」「ファイア」など基盤ブランドの強化を最優先に取り組みました。加えて、80周年を迎えたロングセラー「キリンレモン」のリニューアルや、「潤る茶」の新発売、「世界のKitchenから」ブランドの展開による高付加価値商品の提案も引き続き行いました。結果、国内飲料トータル(単社ベース)の販売実績としては市場の伸びを上回る前年比100%の1億9,294万ケースで着地しました。
《2009年の取り組み》
2009年の清涼飲料市場は、引き続き世界的な金融・社会情勢不安により、消費マインドの低迷が続くと見られ、前年並、もしくは微減で着地すると予想しています。
このようなゼロサム市場の状況や、お客様の嗜好が多様化する中で、あらためて「お客様本位」の価値観に基づいた経営への転換を図ります。2009年は、「お客様本位」の原点に立ち戻り、「量的拡大」を目指すのではなく、お客様への価値創造に向けた最適な資源配分により「質的拡大」へと大きく戦略を転換します。中長期的な成長を睨み、まずはその前提となる「収益基盤の構築」と「新たな競争軸の強みづくり」を軸に取り組んでいきます。
「収益基盤の構築」では、お客様視点に立った販促費の効果・効率的運用、営業生産性の向上、チャネル特性に合わせたビジネスモデルの構築、SCMの効率化を重点に取り組みます。
「新たな競争軸の強みづくり」では、各バリューチェーンにおいてキリングループのシナジーを活用した機能強化を図ります。具体的には高付加価値商品の開発や、市場リサーチ機能の強化、研究開発体制の充実、海外事業の基盤強化を重点に取り組みます。
また、引き続きキリンビール社とは各バリューチェーンでの連携による価値創造に取り組むことで「綜合飲料グループ戦略」を推進していきます。
国内飲料事業の取り組み
(1) 商品戦略
商品面では、お客様の消費動向として見られる「二極化」「安心・安全・健康」「環境意識」の3つのキーワードから「カラダにおいしくて、ココロにおいしくて、地球においしいもの」という基本理念を新たに掲げました。今の時代の「おいしさ」の意味を徹底して考え、品質刷新にとどまらず、お客様の生活を革新することを目指します。引き続き基盤ブランドを中心としたリサーチ・マーケティングの高度化を図りながら、新たな競争軸創出に向け、次期基盤ブランドにもつながる高付加価値型の新ブランドにもチャレンジします。
【基盤ブランドの一層の強化】
基幹アイテムが堅調であることから、これらを軸に経営資源の「選択と集中」を行います。お客様本位に基づいた新たな価値提案・生活提案として、「カラダにおいしくて、ココロにおいしくて、地球においしいもの」を具現化していきます。
●「キリン ファイア」
昨年も「ファイア 挽きたて微糖」を主軸に好調に推移し、過去最高の販売数量を記録しました。発売10周年を迎える今年は、“缶コーヒーの常識を変える”というポリシーのもと、レギュラーコーヒー品質を徹底して追求し、 次世代に向けて“革新し続ける缶コーヒーブランド”として、品質の向上と新提案を行います。
●「キリン 生茶」
「生茶」の原点である「生茶葉」に着目し、さらに「すっきりとして飲みやすい」現代緑茶として、3月にリニューアル新発売します。鮮度感のある みずみずしく甘いおいしさを追求することで、現代緑茶としての独自のポジションを確立し、緑茶ユーザーに新たな価値を提供していきます。
●「キリン 午後の紅茶」
紅茶飲料ナンバーワンブランド※1「午後の紅茶」は、今年は「午後のからだへ」をテーマに、微糖・無糖といった健康志向に合わせた商品の強化を図り、ドライ・チルドタイプともさらに魅力的な商品を続々と展開していきます。 ※1 食品マーケティング研究所調べ
●「ウォーター商品」
「キリン アルカリイオンの水」は、おいしい天然水をアルカリイオン化した水としての特性を活かし、ユニークな飲用・使用方法を提案していきます。輸入ミネラルウォーター ナンバーワンブランド※2「ボルヴィック」は、フレーバーウォーター「ボルヴィック フルーツキス」をあわせ、社会貢献活動「1L for 10Lプログラム」の継続実施などを通じて、ブランド力の強化を図ります。 ※2 食品マーケティング研究所調べ
【新たな高付加価値商品の提案】
リサーチ・マーケティングの高度化によりお客様ニーズを見極め、お客様にとってのベネフィットが明確な高付加価値商品を提案していきます。
●「キリン 発酵ウコン」
キリンが提案するウコンエキス飲料「キリン 発酵ウコン」を新発売します。秋ウコンを乳酸菌発酵させることで苦味を和らげ、おいしさ・飲みやすさを追求し、さらにしじみに多く含まれるアミノ酸として知られているオルニチンを200mg加えました。自動販売機にも投入できる形状・サイズを採用し、購買接点を広げていきます。
●「キリン 世界のKitchenから」
大人向け「おいしさのプレミアム飲料」として独自のポジションを構築した「世界のKitchenから」は、2月の「とろとろ桃のフルーニュ」のリニューアルを皮切りに、年間を通じて様々な商品やニュースをお届けし、お客様を常にワクワクさせる楽しいブランドを目指します。
●「キリン 潤る茶」
「キリン 潤る茶」は話題の健康素材やうるおい素材をブレンドした新しいタイプのブレンド茶として昨年5月に発売し、好調に推移しています。今年は素材をさらに強化し、“毎日の生活で失われる成分をとる健康ブレンド茶”としてリニューアル新発売します。
【準基盤ブランドの育成】
お客様の飲用シーンやベネフィットを明確にし、永く愛され続ける価値ある商品として、いっそうの活性化を図ります。
●「キリンレモン」
昨年は80周年を機に全面的にリニューアルを実施し、前年比172%と大幅に販売数量を伸ばすことができました。今年もロングセラーブランドが持つ「信頼・安心」に加え、「おいしさ」と「健康感」を訴求していきます。
●「100%果汁商品」
トロピカーナは、100%果汁カテゴリーの積極的なお客様選択価値を高めていくため、基盤商品の見直しと付加価値のある商品の提案に努め、果実のおいしさを追求し続けることでいっそうのブランド価値の向上を図ります。
(2) 営業戦略
営業活動においては、引き続きキリンビール社との連携を強化し、グループ資産を活用した価値提案営業を推進することで、シナジーを最大限に発揮した活動を展開します。市場リサーチ力のいっそうの強化を図り、常にお客様の近くに立ったお客様本位の活動を徹底していきます。また、グループ連携のもとに地域に密着した営業活動も強化し、市場にきめ細かく対応し、お客様接点の拡大を図ります。
今年は、量販店頭活動はもとより、業務用市場においても1月より業務用専用商品として「キリン 烏龍茶」を新発売し、営業活動はキリンビール社が主体に両社で協働して行なうことで、新たなシナジーを創出していきます。
また、自動販売機チャネルにおいては、お客様視点に立った最適コラムの提案や、お客様接点の拡大につながる稼動増・コラム増を目指し、M&Aやアライアンスも推進していきます。
海外事業・国内食品事業
海外飲料事業は、さらなる飛躍を目指し、中国、タイ、ベトナムにおいて「技術力」と「顧客関係力」を活かした事業基盤強化と規模拡大に引き続き取り組みます。中国では「綜合飲料グループ戦略」の推進に向けて、引き続き事業基盤の強化を図ります。今春からは中国で2本目の無菌充填ラインも稼動予定で、技術力を活かした高付加価値商品の展開により、さらなるお客様の支持拡大を目指します。ベトナムでは下期からの工場稼動により飲料事業をスタートします。また、タイでは、昨年5月に発売し好調の抹茶ミルクタイプの飲料「生茶 グリーンラテ」に加え、新たなカテゴリーの商品も展開し、商品ポートフォリオの強化を図ります。
小岩井乳業社では、小岩井農場を原点とする乳事業をコア事業とし、お客様本位・品質本位・環境本位を第一義とした事業活動の継続、「小岩井だからこそできること」の追求により、小岩井ブランドが信頼される(安全・安心)、上質(おいしさ・高品質)な食品ブランドとして高く評価されること、市場の中では他とは一線を画した独自の地位を獲得することを目指します。
社会との共生・CSR(社会的責任)の推進
すべての事業活動において、お客様から「見える品質」を共通価値として、引き続き品質保証体制の高度化、トレーサビリティーへの対応を図り、“食の安全・安心”の提供に努めます。また、コンプライアンスの徹底やJ-SOX法に対応する内部統制の体制整備をいっそう強化します。
社会とのより積極的なコミュニケーションとしては、「地球環境保全」「飲料文化発信」「スポーツ支援」の3領域で、当社ならではの技術や強み、そこから生まれる商品やサービスを活かした取り組みを行います。
地球環境保全においては、昨年末に本社部門でISO14001の認証を取得しました。今年度はさらなる環境経営の推進と事業の低炭素化を進めます。自動販売機事業においても、昨年に引き続き、地球温暖化係数が限りなく「0」に近い「ノンフロン冷媒機」や、消費電力量において従来機に比べ大幅な省エネを実現した「ヒートポンプ機」を積極展開し、環境対策に取り組みます。特に、「ヒートポンプ機」については、約15,000台の展開を計画しています。
飲料文化発信においては、紅茶飲料市場を牽引するリーディングカンパニーとして、紅茶文化を中心とした情報発信を全国で継続していきます。スポーツ支援では、当社の次世代育成の取り組みである「キリンビバレッジ キッズ プロジェクト」の一環として、サッカー日本代表戦会場で「エスコートキッズ」や「キッズシート」などの企画を実施する予定です。
当社では、これらの活動を通じて社会やお客様から信頼され、社会的存在価値のある企業を目指していきます。
キリングループは「おいしさを笑顔に」をグループスローガンに掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。
キリンビバレッジ 商品販売目標 ※国内飲料トータル(単社ベース)
2008年実績 |
前年比 |
2009年目標 |
前年比 | |
「生茶」 |
2,670万箱 |
89% |
2,550万箱 |
96% |
「午後の紅茶」 |
3,739万箱 |
99% |
3,750万箱 |
100% |
「ファイア」 |
3,070万箱 |
102% |
3,300万箱 |
107% |
「アルカリイオンの水」 |
2,398万箱 |
103% |
2,500万箱 |
104% |
「ボルヴィック」 |
1,616万箱 |
106% |
1,650万箱 |
102% |
基盤ブランド 計 |
13,493万箱 |
99% |
13,750万箱 |
102% |
清涼飲料 計 |
19,294万箱 |
100% |
19,300万箱 |
100% |