2010年8月10日
キリン食生活文化研究所 レポートVol.26
2009年世界主要国のビール生産量
〜世界のビール総生産量は25年連続で過去最高記録を更新、
アジアはヨーロッパを抜いて世界最大のビール生産地域に〜
キリンホールディングス株式会社(社長 三宅占二)のキリン食生活文化研究所では、世界各国のビール協会などに対して独自に実施したアンケート調査と最新の海外資料に基づき、2009年の世界主要国および各地域のビール生産量をまとめました。この調査は1974年分から統計開始しています。
- トピックス
- ■世界の総生産量は、約1億8,100万kl (前年比0.4%増) で、東京ドーム約146杯分に相当。
- ■地域別では、アジア (前年比5.5%増、構成比32.4%) が初めてヨーロッパ(前年比5.1%減、構成比30.5%)を抜き、世界最大のビール生産地域となった。
- ■国別では、中国 (前年比7.0%増) が8年連続トップ。上位国では、中国のほか、ベトナム(前年比24.3%増)、アルゼンチン(前年比9.7%)が高い増加率となった。
2009年の世界ビール総生産量は、前年より約76万kl増 (前年比0.4%増) の約1億8,100万klとなりました。東京ドームをジョッキに見立てると、約146杯分 (東京ドーム1杯分は約124万kl) に相当します。世界のビール総生産量は、1985年以降25年連続で増加を続けていることになります。
対前年増加率は0.4%増で、1974年の調査開始以来、1984年、1983年に続いて3番目に低い増加率となりました。世界的な不況がビール市場にも影響していると考えられます。
- 1.地域別生産量 (表1)
- 地域別では、ヨーロッパと北米を除く全ての地域で、対前年で増加しました。
ヨーロッパ(前年比5.1%減)は、生産量の約8割を占める上位10カ国中、ロシア(前年比4.8%減)、ドイツ(前年比2.8%減)、イギリス(前年比9.0%減)など、9カ国が減少し、5.1%の減少となりました。
アジア(前年比5.5%増)は、中国(前年比7.0%増)、ベトナム(前年比24.3%増)、インド(2009年第26位、前年比12.3%増)が貢献し、地域別で最大の増加率となり、構成比を1.6ポイント伸ばしました。この結果、アジアは初めてヨーロッパを抜き、世界最大のビール生産地域となりました。
- 2.国別生産量(表2)
- 近年大幅な伸びを続けていた3位のロシア(前年比4.8%減)は、世界的な金融危機の影響を受け、対前年で減少となりました。
上位国では、ベトナム(前年比24.3%増)、アルゼンチン(前年比9.7%増)、中国(前年比7.0%増)などが高い増加率となり、ベトナムは、前年の21位から15位に大きく順位が上がりました。一方、ルーマニア(前年比12.9%減)、ポーランド(前年比9.6%減)、イギリス(前年比9.0%減)などは、大きく減少しました。
日本は、順位は変わらないものの、少子高齢化や嗜好の多様化、生活防衛意識の高まり、さらには、夏の天候不順などの影響もあり、5年連続減(前年比2.2%減)となりました。
- 3.10年前との比較(表3)
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2009年の世界ビール生産量を10年前と比較すると、増加量は約4,408万kl(32.2%増)となりました。増加量の約半分にあたる2,163万klは中国の増分であることから、中国が直近10年間のビール生産量の増加を牽引してきたことが分かります。
国別に見ると、上位25カ国の中で増加率の高い上位3カ国は、ウクライナが3.6倍(2009年第11位、258.8%増)、ベトナムが3.1倍(同第15位、206.7%増)、ナイジェリアが2.9倍(同第25位、前年比190.9%)で、これらの国々の今後の動向が注目されます。
- 注:日本の生産量については、ビール、発泡酒、新ジャンルの合計
- 出典:各国ビール協会などへのアンケート調査 (当社が実施したもの)
The Barth Report Hops 2009/2010 (BARTH-HAAS GROUP)
- ※日本の生産量に関しては、ビール、発泡酒、新ジャンルの合計
- ※四捨五入のため、合計値が一致しない場合がある
■2009年地域別ビール生産量構成比
■世界のビール総生産量と増加率の推移
(表2)2009年国別ビール生産量
- ※日本の生産量については、ビール・発泡酒・新ジャンルの合計
- ※四捨五入のため、合計値が一致しない場合がある
【解説】
- ・国別生産量1位の中国(前年比7.0%増)は、生産量が4,000万klを超え、世界における構成比の拡大を続けている。経済発展に伴う個人所得増加、生活水準の向上により、飲用層が拡大していることなどから、今後も成長が予測される。
- ・近年大幅な伸びを示し、2007年に初の生産量第3位となったロシアは、世界的な金融危機の影響を受け、大きく減少した。
- ・ブラジル(前年比4.4%増)やベトナム(前年比24.3%増)は、個人所得の増加などを背景とした消費の好調により高い増加率となった。特にベトナムは、上位25カ国の中でトップの増加率を記録した。
- ・日本は、少子高齢化や嗜好の多様化、生活防衛意識の高まり、さらには夏の天候不順などの影響もあり、前年比2.2%の減少となった。
【解説】