2011年11月16日
<参考資料>
焙煎大麦抽出物による末梢体温上昇・血流量増加作用を確認
〜冷えの自覚のある女性の末梢体温が上昇〜
キリンホールディングス株式会社(社長 三宅占二)の健康・機能性食品事業推進プロジェクト 食と健康 開発研究チーム(横浜市金沢区、チームリーダー 坂元雄二)は、焙煎大麦抽出液に含まれる成分ピラジン類が末梢体温上昇および血流量増加の作用があることを確認し、この研究成果を11月12日に第5回日本血流血管学会学術集会で発表しました。
大麦は日本国内でも古くから食用の穀物として栽培されており、血中コレステロールや食後の血糖値の低下作用があることが示されています。また血流増加作用のある食品として、生姜やヒハツなどがよく知られていますが、今回新たに特定の条件で焙煎した大麦抽出液に体温上昇・血流量増加効果があることをヒト試験および動物試験で確認しました。
自己プロファイルで「冷え」の自覚のある20〜40歳の女性48名を対象として、焙煎大麦抽出液またはプラセボ飲料を250ml摂取し、冷却負荷した左手の表面温度をサーモグラフィーにより測定しました(添付1)。その結果、冷却負荷直後と比較して冷却負荷後15分以降で有意な回復が見られたことから、焙煎大麦抽出液が末梢体温の上昇作用を有することが確認されました。
そこで、水、未焙煎大麦抽出液、焙煎大麦抽出液の3種をそれぞれラットの胃内に投与し血流量の変化を測定したところ、焙煎大麦抽出液投与による血流量の有意な増加が確認されました。さらに、作用機序を明らかにするために大麦を焙煎する過程で生じる香気成分であるピラジン類に着目し、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)※1およびラット大動脈を用いた試験を行った結果、血管平滑筋※2を弛緩させるプロスタサイクリン※3産生能を促進し、血管を拡張させることが確認されました。また、ピラジン類をラットに投与したところ、血流量が増加することが確認されました。
よって焙煎大麦抽出液による血流量増加作用は、焙煎大麦の香気成分であるピラジン類が血管内皮細胞に作用し、血管を弛緩させることによるものと推察されます。
- ※1 実験用の血管内皮細胞。
- ※2 血管の中膜で、収縮と弛緩によって血管径の調節を行っている。
- ※3 血管内皮細胞から産生される血管弛緩を誘導する物質。
これらのことから、焙煎大麦抽出液は、末梢体温上昇および血流量増加の作用を有することが示唆され、今後機能性食品素材として飲料をはじめとした食品への応用が期待されます。
キリングループは「おいしさを笑顔に」をグループスローガンに掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。
(添付1)焙煎大麦抽出液およびプラセボ飲料摂取による温度変化のサーモグラフィー画像
<焙煎大麦抽出液摂取者>
<プラセボ飲料摂取者>
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