メルシャン社とキリンホールディングス社の共同研究が |
メルシャン株式会社(社長:鈴木 徹)の商品開発研究所(神奈川県藤沢市、所長 高田 良二)とキリンホールディングス株式会社(社長:三宅 占二)のフロンティア技術研究所(神奈川県横浜市、所長 水谷 悟)は、11月17日(土)に開催される「ASEV 日本ブドウ・ワイン学会2012年大会」において発表する、魚介とワインの組み合わせで生じる生臭さの解明と、その原因となるワイン中の鉄を低減させる方法として、エタノールで事前処理した酵母を添加することが有効であることを明らかにした共同研究「魚介とワインの組み合わせで生じる生臭さの解明と、原因となる鉄を低減させる方法の開発」について「技術賞」を受賞するという知らせを受けました。
●研究について 2008年当社は「ワインと魚介類を食べ合わせた時に感じる“生臭み”は、ワイン中の鉄が関与している」という研究成果を発表し、以降関連する研究を続けています。 ワイン中の鉄は、ワインのタイプや原産国と関連せず、土壌由来の鉄、ブドウ果粒の表面に付着する砂埃、収穫から充填までの醸造中の装置などワインの醸造過程から混入すると考えられます。このように通常ワインには鉄が含まれていますが、低濃度であれば外観や味には全く影響しません。一方で2008年の当社研究において「ワインと魚介類を食べ合わせた時に感じる“生臭み”」に関与するワイン中の鉄の量は、ごく低濃度であることが分かりました。 そこで今回の研究では「ワイン中の低濃度の鉄を安全に除去できる鉄吸着剤」を開発しました。 一般的なワイン中の鉄の除去法として日本ではフィチン酸の使用が認められていますが、ワインや果汁によってはフィチン酸の効果が小さく、十分に鉄を低減できないものもありました。 今回の研究では、ワイン発酵において糖が消費された後に増加する死滅酵母が鉄を吸着したという点に注目し、あらかじめエタノールで事前処理した酵母をワインに入れて試験を行ったところ、ワイン中の鉄の量は1mg/L以下まで減少することが分かりました。 これにより官能評価でも魚介類と食べ合わせて生臭みをほとんど感じることのないレベルとなるほか、ワインの香味成分など本来の香味を損なわないことも確認できました。 今回の研究成果を用いれば、魚介類と食べ合わせても生臭みをほとんど感じることのないワインを造ることが可能となります。 ●ASEV日本ブドウ・ワイン学会 (ASEV JAPAN)と技術賞について ブドウやワインに関する研究と技術の発展を目指し1984 年に創設されました。研究発表会、シンポジウム、総会の開催、日本ブドウ・ワイン学会誌の発行、セミナーの開催、諸外国との積極的な国際交流などの活動に加え、アメリカ合衆国デイビス市に本部のあるアメリカブドウ・ワイン学会 (ASEV) の日本支部として活動しています。 技術賞は、原則として会誌の技術的報告(研究報文および解説)、連載講座、総説等の中から日本のブドウ・ワイン産業の技術的発展に顕著な業績のあった者に対して、選考・授与されるものです。 |
◆名称 | ASEV 日本ブドウ・ワイン学会 2012年大会 |
◆開催日 | 2012年11月17日(土) |
◆開催場所 | レンブラントホテル大分 (〒870-0816 大分県大分市田室町 9 番 20 号) |
◆ホームページ | www.asevjpn.wine.yamanashi.ac.jp |
◆賞名 | 技術賞 |
◆受賞講演 | 「魚介とワインの組み合わせで生じる生臭さの解明と、原因となる鉄を 低減させる方法の開発」 |
◆発表者名 | キリンホールディングス株式会社 フロンティア技術研究所 辻 俊一 メルシャン株式会社 商品開発研究所 田村 隆幸 |
以 上
2012年11月14日(リリースNO.12046)
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