キリン株式会社(社長 磯崎功典)の基盤技術研究所(所長 水谷悟)は、小岩井乳業株式会社(社長 布施孝之)と共同で、プラズマ乳酸菌(Lactococcus lactis JCM5805株)※1が動物においてインフルエンザウイルス感染防御作用があることを確認していますが※2、このたび、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)の摂取が、高温の状況においてプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)※3の活性の低下を抑制することを確認しました。この研究の成果は、日本農芸化学会2013年度大会で3月25日に発表します。
- ※1以後、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)と表記
- ※22012年10月17日発表 「プラズマ乳酸菌のインフルエンザウイルス感染予防作用を確認」
- ※31997年に血液中から発見された新しい免疫細胞。体内でウイルス感染防御を専門的に担っている
乳酸菌は、整腸効果やアレルギー改善効果、感染防御効果など、その機能性を多く研究されている食品素材のひとつです。当社でも、食品素材の免疫賦活作用を研究しており、その一環として乳酸菌の研究を行ってきました。これまでに、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)摂取が生体内のpDC活性を高める効果を、動物試験やヒト試験において確認しています。pDCはウイルス感染防御において重要な役割を果たす免疫細胞であり、pDC活性の低下はウイルス感染性疾患の発症リスクを高めます。今回の試験では、外的要因である高温ストレスがpDC活性を低下させることを明らかにし、さらに、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)を摂取することにより、高温ストレスによるpDC活性の低下が抑制されることを確認しました。
まず、マウスを個別飼育装置を用いて低温(10℃)、常温(23℃)、高温(37℃)で24時間飼育し、免疫細胞の多い脾臓(SPN)や腸管膜リンパ節(MLN)のpDCの活性状態を調べました。その結果、高温飼育したマウスの脾臓や腸管膜リンパ節のpDC活性が、常温飼育したマウスと比べて有意に低下しました。低温飼育したマウスは、pDC活性の低下はみられませんでした。次に、常温で2週間プラズマ乳酸菌(JCM5805株)を混餌投与したマウスを高温下で24時間飼育し、pDC活性の状態を調べました。その結果、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)摂取後に高温飼育されたマウスの脾臓のpDC活性は、非摂取で高温飼育されたマウスと比較して有意に高い結果となりました。
これらのことから、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)の摂取は、pDC活性の低下をもたらす高温の状況下でも活性化し、ウイルス感染の防御作用を示すことが確認されました。季節の変わり目や海外旅行、室内と屋外の温度差があるような温度変化ストレスにより高まるウイルス感染性疾患の発症リスクを、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)の摂取によって軽減することが示唆されます。今後は、乳製品をはじめ、キリングループの商品などへの応用と合わせて、ヒトへの効果に必要な摂取量や摂取期間なども解明していきます。
キリングループは「おいしさを笑顔に」をグループスローガンに掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。