[食領域]
~“肌フローラ”メンテナンスによる肌の健康維持~
2018年3月23日
キリン株式会社
キリン株式会社(社長 磯崎功典)の健康技術研究所(所長 近藤恵二)は、千葉大学医学部植松教授および松岡講師の指導の下、株式会社DeNAライフサイエンスと共同で実施した臨床試験でLactococcus lactis strain Plasma(プラズマ乳酸菌)※1が肌の免疫を制御する樹状細胞の活性化作用と肌のバリア機能の増強作用を有することを確認しました。当研究所は、当試験の結果を、事前に実施した非臨床試験の結果とともに、本年3月16日(金)に日本農芸化学会2018年度大会で発表しました。
プラズマ乳酸菌の経口摂取により、肌における悪玉菌である黄色ブドウ球菌※2の増殖を抑制し(図1)、これに伴う肌状態の悪化を抑制すること(図2)を確認しました。さらに肌の遺伝子発現解析結果から、肌のバリア機能維持に重要なタイトジャンクション遺伝子※3や、有害な細菌に対する殺菌作用を示す抗菌ペプチド遺伝子※4の有意な発現増加を確認しました。これらの結果から、プラズマ乳酸菌の摂取が、肌のバリア機能を向上し、肌細菌感染の予防および感染に伴う肌状態悪化の抑制に寄与することが示されました。
図1(非臨床試験)肌の黄色ブドウ球菌数の比較
プラズマ乳酸菌群では、対照群に比べて肌に感染させた黄色ブドウ球菌数の有意な増殖抑制が認められた。
図2(非臨床試験)肌の状態(病変スコア)の比較
プラズマ乳酸菌群では、対照群に比べ、黄色ブドウ球菌の感染に起因する肌状態の悪化の有意な低減が認められた。
健常者70名を2群に分け、プラズマ乳酸菌を50mg(約1,000億個)含むカプセル、あるいはプラズマ乳酸菌を含まないカプセルを8週間(8W)摂取していただきました。試験食品の摂取期間前後で肌のバリア機能維持に重要なタイトジャンクション遺伝子や抗菌ペプチド遺伝子の発現を調べたところ、プラズマ乳酸菌群では有意に発現が増加しました(図3・図4)。さらに、肌フローラ(肌細菌叢)の変化も調べたところ、対照群では試験前後で、11.5%以上の菌で有意または有意傾向に構成比が変化したのに対し、プラズマ乳酸菌群では1%未満の変化に留まり、プラズマ乳酸菌摂取が肌フローラを安定化させる可能性が示唆されました(図5)。また、肌の赤みについても、対照群では変化しなかったのに対し、プラズマ乳酸菌群では有意な低減が認められ、プラズマ乳酸菌摂取が肌の炎症の緩和に寄与している可能性が示唆されました(図6)。
図3(臨床試験)肌のタイトジャンクション遺伝子発現量の比較
プラズマ乳酸菌群では、試験食品摂取前後比較で、タイトジャンクション遺伝子群の有意な発現増加が認められた。
図4(臨床試験)肌の抗菌ペプチド遺伝子発現量の比較
プラズマ乳酸菌群では、試験食品摂取前後比較で、抗菌ペプチド遺伝子の有意な発現増加が認められた。
図5(臨床試験)肌フローラ(肌細菌叢)変化量の比較
対照群では肌フローラの変化した菌が11.5%以上いたが、プラズマ乳酸菌群では1%未満しか変化しなかった。
図6(臨床試験)皮膚の赤みの比較
プラズマ乳酸菌群では、試験食品摂取前後比較で、肌の赤みの有意な低減が認められた。
当社はこれまで、小岩井乳業株式会社(社長 村松道男)と共同で、プラズマ乳酸菌が非臨床試験や臨床試験でプラズマサイトイド樹状細胞の活性化を介して、ウイルス感染防御における免疫賦活効果を示すこと※5、臨床試験でインフルエンザの罹患率の低減効果がみられたこと※6などを報告してきました。今回得られた試験結果は、プラズマ乳酸菌の持つ健康維持機能の新たな可能性を示唆していると考えられます。今後もキリングループの商品への応用研究や、プラズマ乳酸菌の機能の基礎研究を継続していきます。
キリングループは、あたらしい飲料文化をお客様と共に創り、人と社会に、もっと元気と潤いをひろげていきます。