[ヘルスサイエンス領域]
キリンホールディングスと国立感染症研究所の共同研究により、「乳酸菌L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)」の作用によって新型コロナウイルスの複製増殖を低下させることを確認(試験管内試験)
- 研究・技術
2021年12月13日
キリンホールディングス株式会社
キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎 功典、以下キリン)のキリン中央研究所(所長 吉田 有人)は、国立感染症研究所のエイズ研究センター(センター長 俣野 哲朗)との共同研究で、新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の原因ウイルスである新型コロナウイルス(以下SARS-CoV-2)を用いて培養細胞における実験を行った結果、「乳酸菌L.ラクティス プラズマ」(以下、プラズマ乳酸菌)※1を作用させたプラズマサイトイド樹状細胞(以下pDC)※2の培養上清※3が、SARS-CoV-2の複製増殖を顕著に低下させることを確認しました。 この研究成果は第25回日本ワクチン学会学術集会(2021年12月3日(金)~5日(日)現地開催、2021年12月3日(金)~2022年1月31日(月)オンライン配信)にて発表されました。
※1 国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンターが所有するLactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805のこと。
※2 生体内でウイルス感染防御を専門的に担っている免疫細胞の一種で、他の免疫細胞と比較してI型インターフェロンの産生能が高い。
※3 細胞を培養した後にその細胞を遠心分離等により取り除き、残った液体成分(上澄み液)のこと。
<試験概要>
ヒト末梢血単核細胞(以下PBMC)※4からpDCを分離して、プラズマ乳酸菌を添加した培養上清、プラズマ乳酸菌未添加(pDC単独培養)の培養上清を生成した。この双方を、アフリカミドリザルの正常腎臓由来細胞株※5(以下 Vero細胞)に加えて培養した後、SARS-CoV-2(WK-521株)※6を感染させ、2日後に定量PCR法※7によってSARS-CoV-2量を解析した。これにより、培養上清の持つウイルス感染防御効果のポテンシャルを検証した。
※4 血液から得られる血液細胞で主に白血球(生体防御に関わる免疫細胞)を示し、好中球・好酸球・好塩基球・リンパ球・単球が含まれる
※5 SARS-CoV-2が効率的に複製増殖するため、ウイルスの増殖評価や分離に用いられる細胞
※6 国立感染症研究所で分離されたSARS-CoV-2のオリジナル株
※7 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、サンプル中の特定配列のDNAを増幅し、そのDNA量を測定する方法
<結果>
プラズマ乳酸菌未添加(pDC単独培養)の培養上清で処理したVero細胞は、未処理のVero細胞と同等のウイルス複製増殖を示したのに対し、プラズマ乳酸菌を添加したpDC培養上清で処理したVero細胞では、48時間時点で顕著なウイルス複製増殖の低下が認められた(図1)
今回の研究結果は試験管内の反応に関するものであり、プラズマ乳酸菌のSARS-CoV2に対するポテンシャルの検証でしたが、キリンと国立感染症研究所は、プラズマ乳酸菌がSARS-CoV-2感染に与える影響について、今後もさらなる共同研究を展開していきます。
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