[ヘルスサイエンス領域]

~キリンの免疫研究に高い評価~

Lactobacillus paracasei KW3110(KW乳酸菌)」の開発と事業化が、日本農芸化学会2022年度「農芸化学技術賞」を受賞

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2022年3月15日

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典、以下キリン)のキリン中央研究所(所長 吉田有人)は、キリンが発見した乳酸菌である「Lactobacillus paracasei KW3110(以下、KW乳酸菌)」の開発と事業化が高く評価され、公益社団法人日本農芸化学会の2022年度「農芸化学技術賞」を受賞しました。なお、授賞式は3月15日(火)に日本農芸化学会2022年度大会(オンライン開催)にて行われます。
「農芸化学技術賞」の受賞は、キリングループでは10回目となります。

受賞者

キリンホールディングス株式会社 森田 悠治、鈴木 弘章、山崎 雄大、藤原 大介

受賞研究題目

インフラマソーム制御を介した新しい眼の健康維持アプローチ:KW乳酸菌の開発と事業化

受賞研究内容

【研究背景】
高齢化やパソコン・スマートフォンなどの電子機器使用の増加などによって、私たちの生活スタイルは変化し、若年層の中にも目の老化や目の疲れ・不調を悩みとして抱える方が増加しています。その中で、食生活を中心とした日常生活における“目の健康維持”にも注目が集まるようになりました。
また、加齢や外的刺激に伴う老化や機能低下に共通して存在する現象として「炎症」が注目されています。近年の研究で、この「炎症」を抑制することにより老化や炎症性疾患の緩和が期待できることが分かってきました。一方で、免疫の調節を介した目の炎症抑制効果を有する食品の研究報告は限られていました。

【研究概要】
・研究グループは、「KW乳酸菌」が免疫細胞の一種であるマクロファージ※1に作用して、抗炎症性サイトカイン(インターロイキン-10:IL-10)※2産生を誘導することを見出しました。そこで、「KW乳酸菌」による目に対する効果を2種類の非臨床試験において検証するとともに、目の疲れを感じている健常者を対象とした臨床試験において「KW乳酸菌」摂取の効果をフリッカー検査※3により評価しました。その結果、「KW乳酸菌」摂取4週目、8週目のフリッカー値の0週目からの変化量が、「KW乳酸菌」摂取群では対照群であるプラセボ摂取群(KW乳酸菌非摂取群)と比較して有意に高値を示しました。この結果は、「KW乳酸菌」摂取により、目の疲れを感じている健常者の目の疲労感が軽減される事を示唆していると考えられます。

・「KW乳酸菌」が炎症を抑制する作用機序として、炎症や老化の進行への関与が報告されている分子であるインフラマソームの活性化を抑制する効果を、乳酸菌の中でも「KW乳酸菌」が特徴的に有することを発見しました。さらに、「KW乳酸菌」の乳酸菌表面の糖鎖※4の構造がIL-10産生を介したインフラマソーム活性化抑制効果に寄与している可能性も示しました。

※1 免疫細胞の一種で、生体内に侵入した細菌などの異物を捕食して消化するとともに、さまざまなサイトカインを分泌し、傷の修復等を調節する役割を担う
※2 炎症の重要な調節因子で免疫細胞などから分泌される低分子のタンパク質の総称
※3 目の疲労度合を評価する指標の1つ
※4 単糖と呼ばれる糖の分子が鎖状につながった一群の化合物

受賞者のコメント

キリンホールディングス株式会社 R&D本部 キリン中央研究所 森田悠治

免疫はヒトの健康にとって非常に重要な役割を果たしています。当社は、祖業であるビール事業で培った「発酵・バイオテクノロジー」を強みに、35年以上前から免疫の研究を重ね、「プラズマ乳酸菌」や「KW乳酸菌」の発見、作用機序の解明、そして商品開発に取り組んできました。
今回の受賞は、これまで私たちが研究・商品開発に取り組んできた「KW乳酸菌」が、お客様に高い価値をもたらす素材であることを評価いただいた結果ではないかと、関係者一同、喜ばしく受け止めております。
当社は、今後も免疫を中心とした研究開発を進めていくことで、お客様の健康課題を解決するとともに、ヘルスサイエンス領域を大きく成長させてまいります。

日本農芸化学会について

農芸化学分野の基礎および応用研究の進歩を図り、それを通じて科学、技術、文化の発展に寄与することにより人類の福祉の向上に資することを目的として、1924年に設立された学術団体です。1957年に文部省の認可によって社団法人となり、2012年3月1日付けで公益社団法人へ移行しました。
バイオサイエンス・バイオテクノロジーを中心とする多彩な領域の研究者、技術者、学生、団体等によって構成される本学会は、国際活動の推進、国際学術集会開催の積極的支援を実現し、実用性と応用性を基盤とする農芸化学の重要性を広く紹介しています。

農芸化学技術賞について

農芸化学分野において、注目すべき技術的業績を挙げた正会員または賛助会員に授与されるものです。その業績は実用的価値があることが要件とされています。
<日本農芸化学会 農芸化学技術賞ページ>
https://www.jsbba.or.jp/about/awards/about_awards_tech.html

キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。

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