[ヘルスサイエンス領域]
キリン独自の脳機能素材「熟成ホップ」を1回摂取すると自律神経が活性化し、集中力が高まることを臨床試験で確認
~独自メカニズムによる脳のパフォーマンス向上やメンタルケアの実現へ~
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2022年4月18日
キリンホールディングス株式会社
キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典)のR&D本部キリン中央研究所(所長 矢島宏昭)は、ビールの原材料であり、苦味成分として知られるキリン独自の脳機能素材「熟成ホップ」について、1回摂取することで自律神経が活性化し集中力が高まることを、臨床試験で初めて明らかにしました。「熟成ホップ」はヒトの体内にある消化管の苦味センサーを通じて脳腸相関※1を活性化し脳機能を改善するという独自のメカニズムが確認されています。今回の臨床試験の成果より、1回の摂取でも「熟成ホップ」による脳のパフォーマンス向上やメンタルケアの可能性が期待されます。
当社はこの研究成果を2022年3月18日(金)に「日本農芸化学会2022年度大会」にて発表しました。
※1 ヒトにおいて脳の状態が腸に影響を及ぼし、逆に腸の状態も脳に影響を及ぼす現象
研究背景
超高齢社会を迎えた日本国内では、認知症や加齢に伴う認知機能の低下が社会問題となっています。また昨今は、新型コロナウイルスの流行に伴う急激な社会環境変化により、メンタルヘルスの悪化も問題視されており、脳と心の健康に対するニーズが高まっています。
キリングループでは、ビールの原材料として知られ、西洋では薬用ハーブとして長年利用されている「ホップ」に着目し、独自の熟成技術によって脳機能改善と体脂肪低減の両方に役立つ独自素材「熟成ホップ」を開発しました。当社は、順天堂大学と連携した臨床試験で、「熟成ホップ」を継続的に摂取することで、中高齢者の記憶力や集中力が改善し、不安感が低減することを明らかにしました。また、「熟成ホップ」はヒトの体内にある消化管の苦味センサーを通じて、最近注目される脳腸相関を活性化し、脳機能改善や抗うつ作用を示すことを、東京大学や神戸大学との非臨床試験にて報告しています。
しかしながら、短期間の摂取による効果や、ヒトの自律神経への作用は検証されていなかったため、今回、健常な男女を対象とし、「熟成ホップ」を1回摂取した場合に、メンタルヘルスを司る自律神経および認知機能へ及ぼす有効性を評価する臨床試験を行いました。
研究概要
当社は慶應義塾大学と連携し、30歳以上64歳以下の健常な男女を対象に、二重盲検ランダム化クロスオーバー比較試験※2を実施し、「熟成ホップ」を1回(熟成ホップ由来苦味成分を35mg)摂取することで、自律神経および認知機能に及ぼす作用を検証しました。「熟成ホップ」もしくはプラセボを摂取する群に無作為に割り付け、1回摂取した後に自律神経活動については心拍測定、認知機能については神経心理テストを用いて評価しました。その結果、「熟成ホップ」を1回摂取することで、自律神経の活動レベルと、集中力を評価する認知機能課題のスコアが、プラセボの摂取と比較して統計学的に有意に向上しました。
※2 被験者を無作為に2群に分け、各群に別々の介入を行い評価した後に、各群の介入方法を交換して再度評価する方法で、実施者も被験者もいずれの介入を行っているかが分からないよう工夫された状態で行う
これまでの臨床試験で「熟成ホップ」の“継続的な摂取”により集中力や記憶力といった認知機能の改善が確認されていましたが、今回の臨床試験では、「熟成ホップ」は“1回の摂取”でも自律神経活動が活性化し、集中力が高まることを新たに確認しました。また、中高齢世代だけでなく、30代から60代といった幅広い年代を対象に、「熟成ホップ」の効果が期待できることも明らかになりました。
今後の展開
キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV※3先進企業になる」ことを目指しています。
その実現に向けて、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループが長年培ってきた高度な「発酵・バイオ」の技術をベースにして、人々の健康に貢献していく「ヘルスサイエンス領域」(ヘルスサイエンス事業)の立ち上げ、育成を進めています。ヘルスサイエンス領域では、「免疫」および「脳機能」などを重点領域に定め、さまざまな研究開発を行っています。
キリンホールディングスは、2019年に電通グループとの合弁会社であるINHOP株式会社を設立し、ホップおよび「熟成ホップ」の価値向上の取り組みを進めています。今後は、キリングループ独自の脳機能素材である「熟成ホップ」を活用し、機能性表示食品などの商品開発や、大学や自治体などと連携した脳の健康サポートが可能な社会の実現に向けた取り組みを進めます。
※3 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造。
「キリン脳研究」について
日本は4人に1人が高齢者※4の「超高齢社会」となっており、2025年には高齢者のうち5人に1人が認知症になる※5と推計されています。また、昨今の急激な社会環境変化もあり、脳や心の健康増進は大きな社会課題となっています。キリングループでは、脳科学研究を通じて「脳や心の健康」を守り、新たなよろこびを生み出す「キリン脳研究」を進めています。「キリン脳研究」は、キリンならではの発想と技術で脳の健康を守ることを通じ、社会課題の解決に向けて貢献するとともに、一人ひとりが社会の中で、自信や希望、そして気持ちのゆとりを感じながら暮らせるこころ豊かな社会の実現を目指していきます。
※4 内閣府 令和2年版高齢社会白書
※5 厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業. 日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究.
平成26年度総括・分担研究報告書. 2015.
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。
1.発表演題名 | 「脳腸相関を活性化する熟成ホップ由来苦味酸の単回摂取による自律神経活性化と注意機能改善」 |
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2. 学会名 | 「日本農芸化学会2022年度大会」 |
3.発表日 | 2022年3月18日(金) |
4.発表者 | キリンホールディングス株式会社 R&D本部 キリン中央研究所 金留理奈、阿野泰久 慶應義塾大学 文学部 心理学研究室 梅田聡 |
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