[ヘルスサイエンス領域]

キリン独自素材「熟成ホップ」の発見・研究・事業応用が、「2023年度農芸化学技術賞」を受賞

認知機能改善・ストレス低減・体脂肪低減を実証し、健康課題の解決へ

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2023年3月20日

キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典、以下キリン)は、キリンが独自に発見・開発した「熟成ホップ」の研究と事業応用が高く評価され、公益社団法人日本農芸化学会の2023年度「農芸化学技術賞」を受賞しました。授賞式および受賞講演は3月17日(金)に日本農芸化学会2023年度大会(広島コンベンションホール、オンライン配信)で行われます。「農芸化学技術賞」の受賞は、キリングループでは11回目となります。

受賞者

キリンホールディングス株式会社 R&D本部 キリン中央研究所 阿野泰久、福田隆文、山崎雄大

受賞研究題目

脳腸相関活性化により認知機能改善と体脂肪低減作用を有する熟成ホップの発見と事業応用

受賞研究内容

研究背景

超高齢社会やストレス社会において、脳の健康やメンタルヘルスを損なうことが大きな社会課題となっています。また、成人期の肥満は生活習慣病を引き起こし、認知症やうつ病の発症リスク上昇に繋がります。これらの社会課題に対し、当社は科学的エビデンスに基づく日常的な解決策として、ビール原料として長年使用している素材であるホップに注目し、研究を進めてきました。

研究概要

当社は、ホップ由来のビール苦味成分(イソα酸)が、アルツハイマー病の予防効果を示すこと、認知機能を改善することを初めて発見しました※1。しかし、ビール苦味成分(イソα酸)は、非常に強い苦味があるため、事業での活用が限られるという課題がありました。そこで、独自の熟成技術によって苦味を抑えた「熟成ホップ」を開発しました。
当社は、熟成ホップの研究を進める中で、腸管の苦味センサー(苦味受容体)に働きかけて迷走神経を刺激し、脳と腸をつなぐネットワーク(脳腸相関)を活性化することで、認知機能改善やストレス低減に効果があることを確認しました。また、共通のメカニズムを通じて、脂肪を燃焼させる褐色脂肪細胞を活性化させ、体脂肪を減らす効果も確認しました。
さらに、臨床試験を繰り返し行い、「熟成ホップ」を継続摂取することにより、脳の健康が気になる人の認知機能やストレス状態を改善することを確認しました※2。また、BMIが高めの人のお腹周りの脂肪を低減することを確認しました※3。
一連の研究成果はこれまで34報の学術論文にて報告され、エビデンスに基づいた飲食品として「熟成ホップ」を活用した社会実装を進めています。

※1 論文タイトル:Iso-α-acids, Bitter Components of Beer, Prevent Inflammation and Cognitive Decline Induced in a Mouse Model of Alzheimer's Disease
発表者:阿野泰久、星朱香、高島明彦、中山裕之、他
雑誌名:J Biol Chem. 2017 Mar 3;292(9):3720-3728. doi: 10.1074/jbc.M116.763813.
※2 論文タイトル:Supplementation with Matured Hop Bitter Acids Improves Cognitive Performance and Mood State in Healthy Older Adults with Subjective Cognitive Decline.
発表者:福田隆文、大沼徹、新井平伊、阿野泰久、他
雑誌名:J Alzheimers Dis. 2020;76(1):387-398. doi: 10.3233/JAD-200229.
※3 論文タイトル:The relationship between the effect of matured hop extract and physical activity on reducing body fat: re-analysis of data from a randomized, double-blind, placebo-controlled parallel group study.
発表者:山崎雄大、金子祐司、小林夕美恵、他
雑誌名:Nutr J. 2018; 17(1):98. doi: 10.1186/s12937-018-0405-3.

  • 図 熟成ホップの作用メカニズム

日本農芸化学会について

農芸化学分野の基礎および応用研究の進歩を図り、それを通じて科学、技術、文化の発展に寄与することにより人類の福祉の向上に資することを目的として、1924年に設立された学術団体です。

農芸化学技術賞について

農芸化学分野において、注目すべき技術的業績を挙げた正会員または賛助会員に授与されるものです。
<日本農芸化学会 農芸化学技術賞ページ>
https://www.jsbba.or.jp/about/awards/about_awards_tech.html

「キリン脳研究」について

日本の平均寿命は伸び続け、4人に1人が高齢者の超高齢社会となりました。2025年には高齢者のうち5人に1人が認知症になる※4と推計され、健康寿命の延伸は社会課題となっています。
キリングループは、心や感情が脳の働きと密接に結びついていることに着目し、「脳の健康」を守り新たなよろこびを生み出す「キリン脳研究」を進めています。
「キリン脳研究」は、キリンならではの発想と技術で社会課題の解決に向けて貢献するとともに、一人ひとりが自信や希望、気持ちのゆとりを感じながら暮らせるこころ豊かな社会の実現を目指していきます。
※4 厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業. 日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究. 平成26年度総括・分担研究報告書. 2015.

キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。

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