「環境報告書2023」を公開

キリンホールディングス株式会社（社長 磯崎功典）は、2023年7月28日（金）に「環境報告書2023」を公開しました。

本年の主な開示概要

複数の開示フレームワーク（TCFD※1・TNFD※2案）に基づいた統合的な環境経営情報

従来、単独で開示してきたTCFDフレームワークに基づく開示にTNFDフレームワーク案を組み込み、循環型社会構築への貢献なども可能な範囲で組み込んで、個別ではなく統合された形でのキリングループの環境経営情報の開示を試行しました。

GHG排出量削減・投資計画・資金調達計画を連動させた気候変動の移行計画

気候変動に対する移行計画で、「キリングループ環境ビジョン2050」で掲げる“2050年までにバリューチェーン全体のGHG排出量をネットゼロにする”という目標実現のための施策と必要な投資額、資金調達計画を、その関係性が分かる形で開示しました。主なグループ会社ごとのGHG排出量削減と、目標達成に必要な施策・投資額も開示しています。

スリランカの紅茶農園にフォーカスしたLocate（自然との接点を発見する）、Evaluate（依存関係と影響を分析する）の詳細分析

世界に先駆けて「環境報告書2022」で開示したTNFDが提唱する「LEAPアプローチ」による自然資本※3の開示を踏まえて、自然資本の「事業・製品グループ毎の依存度・影響度の評価」を、ENCORE※4を利用して網羅的に評価しました。その上で、約10年にわたるレインフォレスト・アライアンス認証取得支援を通じた知見と現地とのエンゲージメントがあるスリランカの紅茶農園に対象を絞って、「LEAPアプローチ」のLocate（自然との接点を発見する）、Evaluate（依存関係と影響を分析する）の詳細分析を行った結果を開示しました。

TNFDからの参加依頼を受け、New Belgium Brewing（アメリカ コロラド州）で実施した、TNFDフレームワークβ版v0.4（2023年3月公開）で行ったシナリオ分析のパイロットテストの参加概要

2023年3月に、TNFDからの参加要請を受けてアメリカのコロラド州フォートコリンズにあるNew Belgium Brewingにおいて実施したシナリオ分析のパイロットテストの結果を開示しています。2022年11月に公開されたTNFDフレームワークβ版v0.3の中に含まれていたシナリオ分析に関する「ディスカッションペーパー」の実践性の検証を目的として世界で4社だけが参加要請されたもので、実施結果は2023年3月に公開されたTNFDフレームワークβ版v0.4※5の中でも紹介されています。

※1 The Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略
※2 Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの略。企業などが自然に関連したリスク情報開示を行い、2030年までに自然の減少を食い止め回復軌道を目指すNature Positiveをもたらすよう資金の流れが転換されることを目指し、情報開示を行うためのフレームワークの開発、提供を目指す国際的な組織
※3 自然資本とは、再生可能及び非再生可能資源や生態系サービスのフローを社会に供給する自然資産のストック
※4 ENCORE（Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposureの略。TNFDフレームワークβ版の中で、生態系サービスの評価に活用できるとして紹介されているツール
※5 TNFD Beta v0.4 Annex 4.10 Additional guidance on scenario analysis
https://framework.tnfd.global/wp-content/uploads/2023/03/23-23882-TNFD_v0.4_Annex_4.10_v5-2.pdfPDF：4.9MB

今後もキリングループは、複合的に発生し相互に関連する環境課題（生物資源・水資源・容器包装・気候変動）に統合的に取り組み、豊かな地球の恵みを将来にわたって享受し引き継ぎたいという思いをバリューチェーンに関わるすべての人々とともにつなぐべく、自然と人に「ポジティブインパクト」を与えるさまざまな取り組みを積極的に進めていきます。

参考

・キリングループ「環境報告書2023」
・「キリングループ持続可能な生物資源利用行動計画」改訂
・「キリングループ環境ビジョン 2050」