海老名物流センターへ「自動ピッキングソリューション」の導入を決定
物流オペレーター不足や重量物ピッキング、車両待機などの2024年問題への対応を加速
- 研究・技術
2023年12月8日
キリンビバレッジ株式会社
キリンビバレッジ株式会社(社長 吉村透留、以下キリンビバレッジ)とキリングループロジスティクス株式会社(社長 安藤弘之)は、三菱重工業株式会社(社長 泉澤清次、以下三菱重工)と三菱重工グループの三菱ロジスネクスト株式会社(社長 間野裕一)とともに行った、飲料出荷拠点への「自動ピッキングソリューション※1」導入に関する共同実証において、物流現場への実効性が検証されたことから、海老名物流センター(神奈川県海老名市)に本ソリューションを導入することを決定しました。なお、本ソリューションは2024年12月に本格稼働を開始する予定です。
※1 三菱重工グループが開発した、ピッキング作業を自動化・知能化したソリューション
本ソリューションは、これまで物流現場の作業者自身が効率化を考えながら行っていたパレット上に積み付ける作業(ピッキング)を自動化・知能化し、コンベヤーなどの固定設備を使わずに、無人フォークリフト、無人搬送車、ピッキングロボット※2を連携させて導入することができる可動式で汎用性が高いソリューションです。
このソリューションを導入することにより、飲料が入った重量のある段ボールを人の手を介してピッキングを行う重筋作業やフォークリフト搬送を自動化し、作業環境の改善やピッキング人員を検品など他の作業への再配置を進めることが出来ます。その結果、物流センター全体の人手不足の解消、待機車両時間を短縮することが可能となり、2024年問題の対応を加速することにつながります。
※2 飲料ケースなどの製品を自動で整列させてパレット上に積み付ける装置
また、本ソリューションは、自動化・知能化した設備のため、原則的に完全自動化※3への切り替えが可能ですが、今回は、有事の際に人による作業が可能なハイブリッドなオペレーション設計にすることにより、停電・自然災害などによるBCP(事業継続計画)を考慮した構成としています。今後は、2023年6月に内閣府より発出された「物流革新に向けた政策パッケージ」に対応すべく、夜間帯での無人作業も検討していきます。
※3 ロボットで搬送可能なケースを対象
共同実証の概要と結果
期間 | 2022年11月~2023年6月 |
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場所 | 三菱重工業 Yokohama Hardtech Hub内 実証施設 「LogiQ X Lab」(神奈川県横浜市) |
内容 | 1)キリンビバレッジの倉庫オペレーション状況下でのピッキングソリューションの検証 2)ピッキングソリューションの生産性確認及び、倉庫導入に向けた生産性向上の検証 3)キリンビバレッジの倉庫の自動化範囲と人的作業範囲の最適化検討、運用プロセス確立 4)キリンビバレッジの倉庫向け設備・システム仕様の検討 |
結果 | 1)海老名物流センターを前提としたピッキングソリューションの設備・システム仕様の構築 2)ピッキングソリューションによる生産性42%向上(実証前比) |
キリングループと三菱重工グループは、今後も飲料業界が抱えるさまざまな物流課題の解決に向けて連携して取り組んでいきます。
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。
「自動ピッキングソリューション」について
1.取り組みの背景
現在、多くの企業では倉庫や工場内の保管場所から商品を取り出して配送先ごとに仕分けるピッキング作業のほとんどを人の手を介して行っています。飲料業界でも、飲料が入った重量のある段ボールを人の手を介してピッキングしていることから、重筋作業として負担が大きいことや、誤作業のリスクがあることが課題となっています。キリングループでも、製造現場の自動化が進む一方で、物流現場は有人フォークリフトや作業者による手作業が中心となっており、2024年問題に関連して労働時間管理が厳格になり重筋作業が要求される現場での作業オペレーター確保が課題となっています。
2.「自動ピッキングソリューション」について
三菱重工グループが開発した「自動ピッキングソリューション」は、これまで作業者自身が効率化を考えながら行っていたピッキング作業を、ピッキング実績データを基に、三菱重工が研究開発を進める「ΣSynX(シグマシンクス)」※1によって自動化・知能化したソリューションです。独自開発の最適化エンジンや統合制御システムによって、複数のAGF(Automated Guided Forklift:無人フォークリフト)、AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)、ピッキングロボット※2を効率的に連携させて搬送・ピッキング回数を削減、ピッキング工程の最適化とスループット(処理能力)向上を実現します。コンベヤーや自動倉庫のような大規模な固定設備を使わない、可動式で汎用性が高い「自動ピッキングソリューション」を導入することで、賃借倉庫などの中小型倉庫での導入、物流環境やマーケットトレンド、雇用状況に柔軟に対応することが可能となります。
また、本ソリューションの導入により、夜間帯に無人でピッキング作業を行うことができますが、停電・自然災害時に電力が停止しても本ソリューションを稼働できるように、作業者が手動で動かす設計に変更することも可能です。2023年6月に内閣府より発出された「物流革新に向けた政策パッケージ※3」に対応すべく、自動化設備を導入することで夜間帯での無人作業を実現し、人手不足や待機車両時間などの2024年問題に向けた取り組みを加速させていきます。
※1 さまざまな機械システムを同調・協調させる三菱重工の標準プラットフォームであり、機械システムの知能化により最適運用を実現するデジタル・テクノロジーを集約したもの
※2 飲料ケースなどの製品を自動で整列させてパレット上に積み付ける装置
※3 令和5年6月2日我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議で提言された物流政策 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/dai2/siryou.pdfPDF:910KB
従来のピッキングのフロー
自動ピッキングのフロー
AGF(Automated Guided Forklift:無人フォークリフト)、AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)
自動ピッキングフローの画像
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