[食領域]
多様なノンアルコールビールの開発で健康で心豊かな生活の実現に貢献する
- 酒類メーカーとしての責任
- 技術力
- マーケティング力
- 商品・サービス
2020年08月06日
適正飲酒啓発と次世代へのお酒の文化継承
アルコール飲料は多くの人に楽しみや潤いのある豊かな暮らしをもたらしますが、一方で飲酒が一部の人々の健康を損なうなどの問題があることも事実です。そのようなアルコール飲料の有害摂取をなくすことは酒類メーカーとしてのキリングループの責任であり、適正飲酒や飲酒マナーに関する啓発活動、酒類の広告・宣伝活動に関する業界の厳しい自主基準の設定と遵守、国内外における業界全体の取り組みへの積極参画など、地域社会や国際社会とともに問題飲酒の撲滅と予防に向けた対策を推進しています。
この一環として、キリンビールでは「ノンアルコール・低アルコール商品」の開発に注力しており、2021年までにそれら商品の販売数量を2018年比で115%とする目標を掲げています。
取り組みの概要
当社が「アルコール完全ゼロのビールテイスト飲料」の開発を開始したのは2007年です。この頃、日本では飲酒ドライバーによる悲惨な事故が相次いだこともあり、2007年には酒酔い運転、酒気帯び運転に対する罰則が大幅に強化され、運転者にお酒を提供したお店も処罰の対象になりました。
当時「ノンアルコール」と称するビールテイスト飲料は、当社製品を含めてすでにいくつか存在していましたが、いずれも微量のアルコールを含んでいたのです。そうした中で、当社は「真のアルコールゼロ」を実現するために、発酵をさせず香料を駆使してビールの風味を出すという当時では常識破りの製法にチャレンジしました。多様なメンバーによる開発チームの試行錯誤の結果、2009年に世界初のアルコール0.00%ビールテイスト飲料「キリン フリー」を完成させました。この商品は発売直後から市場の高い評価を獲得して、それまでカテゴリー全体で年間約250万ケース程度だった市場で年間約400万ケースを販売し、「アルコール0.00%」という新たな市場を創出しました。さらに高速道路SAでのプロモーションや警察との連携による飲酒運転根絶イベントなどを通して、社会問題の解決に貢献することができました。
「ビールらしさ」「爽快感」「健康」多様なニーズに応えノンアルコールビール市場を拡大
「キリン フリー」の発売前、当社はノンアルコールビールを「飲酒できないとき」のための代替品と位置づけていました。しかし、発売後にわかったのは「健康維持に役立つ」「生活スタイルに合う」といった、より積極的な理由でこの商品を選ぶ方が多かったことです。健康志向の高まりや働き方の多様化など、社会の変化の中でお客様がノンアルコール商品に求める価値は、想像以上に大きく広がっていたのです。その結果、ノンアルコールビールの市場規模は2023年には2019年比で1.5倍(当社試算)に成長が期待される市場となっています。
現在のノンアルコールビールへの積極的ニーズは「ビールらしさ」や「爽快感」、そして「健康」などが代表的です。そこで、当社は健康ニーズに対応した機能性表示食品の「パーフェクトフリー」「キリン カラダFREE」、一番搾り製法を採用してビールらしさを求めるお客様のニーズ応えた「キリン 零ICHI」、“自然派ビールテイスト炭酸飲料”をコンセプトに「爽快感」ニーズに応える新商品として2020年春に発売を開始した「キリン グリーンズフリー」など、ラインアップの拡充に努めてきました。
アルコール飲料への規制はこれからも強化されていくと思いますが、お酒が提供する価値は「酔う」ことだけではないと私は考えています。例えば「味のおいしさ」「人と一緒に飲む楽しさ」「報酬感」など、お客様ごとに、あるいは生活シーンごとに求められるさまざまな価値があるはずです。これからも酒類メーカーとしての責任を前提に、ノンアルコール商品の開発を通して問題飲酒の撲滅に貢献し、多様な価値を社会にお届けしていきたいと思っています。
キリンビール株式会社
マーケティング本部 マーケティング部 ビール類カテゴリー戦略担当
久保 育子(Ikuko Kubo)
2009年入社。2013年にマーケティング本部へ異動。以後、「淡麗プラチナダブル」(2014年発売)、「パーフェクトフリー」(2015年発売)をはじめ、多様な新商品のプロモーションを手がける。「ノンアルコールビールを担当するようになって、自分でも生活に取り入れてみると、次の日に体が楽だったり、より多くの仲間と楽しい時間を共有できたり、さまざまな面でメリットが大きいことを実感している」という。
※所属(内容)は掲載当時のものになります。