[食領域]
レインフォレスト・アライアンスの社内セミナーを開催しました
- 環境
2015年08月10日
2015年7月に、レインフォレスト・アライアンスの指導マネージャーである榎本礼子さんをお招きして社内セミナー「レインフォレスト・アライアンスの農場指導と認証がどのようにして森林保護に繋がるのか?」を開催しました。
榎本さんは、2009年よりレインフォレスト・アライアンスの指導マネージャーとして、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ各国で農場指導システムの構築を行っておられます。キリングループが取り組んでいるスリランカの紅茶農園でのレインフォレスト・アライアンス認証取得支援でも、現地でトレーナーや農園マネージャーの指導などを行っていただいています。
セミナーは受講者が8名程度の組みを作って、クイズで競う形式で行われました。
その問題の一部を紹介いたします。
『中南米のある国の森では違法な伐採により森林が失われようとしていましたが、その原因は次のうちどれでしょうか?』
みなさん、わかりますか?答えは「現地の農民」です。
なぜなのでしょうか。それは、「農地を広げて収穫を増やすため」なのです。
農地は適切に管理しないと土地がやせるなどして収穫が落ちてきます。
途上国の場合、貧困の問題もあって十分な農業技術を学ぶ機会がない農家がたくさんあり、このような場合に収入を増やすために森林を伐採して農地を広げようと考える農家がでてきてしまうのです。
森林を保全するためには単に森林の伐採を禁止するのではなく、周辺の農地の収量を上げる農業技術を農民に教え、農地を広げなくても農家が適正な収入を得られるようにする取り組みが重要なのです。
『次のうち森林でとれないものはなんでしょうか?』
答えは「パームヤシの実」です。
パームヤシの実は、非常に多用途な植物油であるパーム油の原料となりますが、生育には直射日光が必要なことから、森林で他の樹木と一緒に生息できず、産業用に大量栽培すると熱帯雨林の伐採などにつながる場合もあります。キリングループでは、2011年からこの問題への対応を開始し、グリーンパーム認証と呼ばれる仕組みで対応してきています。
しかし、残りのものはすべて森林の中で採取することのできるものなのです。
ナッツは中南米の森林に実を付けていますし、コーヒーも本来は森林の日陰で栽培されてきたものです。チューインガムの原料であるゴムの木は森林に自生し、森林の下草の一部として観葉植物になる木が植わっています。また、森林からは、はちみつも豊富に取ることができます。
森林が失われれば、これら収入を得ることのできる貴重な原料が全て失われてしまうことを現地の方が理解すれば、自分たちの収入を守るために森林を守るようになっていく、と言う訳です。
このように、レインフォレスト・アライアンスは、単に森林伐採を禁止するのではなく、森林を伐採して農地を拡大しなくても済む農業指導や、森林を有効に活用することが自らの収入向上につながることを教えていくことで、森林を守っているのです。
今回のセミナーでは、この他にも様々な具体的な事例をクイズ形式で学ぶことできました。参加者からも、認証取得を支援すること、または認証原料を使うことで、単に森林を守るだけではなく、現地に住む方々の生活向上にも役立っていることを知ることができる機会になった等の意見が寄せられました。
キリングループは、今後も生産地に寄り添い、持続可能な生物資源を利用していくために、スリランカの紅茶農園でのレインフォレスト・アライアンス認証取得支援を含めた様々な活動に取り組んでいきます。
※所属(内容)は掲載当時のものになります。