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自社管理ブドウ園の椀子(マリコ)ヴィンヤードは多様な生きものを育む豊かな自然の中にあります

  • 環境

2015年09月18日

  • 自社管理ブドウ園の椀子(マリコ)ヴィンヤードは多様な生きものを育む豊かな自然の中にあります

自社管理農園の1つである椀子(マリコ)ヴィンヤードが生み出すワインは、今年もリュブリアーナ国際ワインコンクールなど著名な国際ワインコンクールで金賞を受賞しています。

この地で2014年秋の予備調査から始まった生態系調査ですが、今年からは本調査に移行し、今回7月末には5月に続いて2度目の調査が行われました。
椀子(マリコ)ヴィンヤードは、2003年に休耕地を活用して開園したブドウ園で、約20haに及ぶ広大なブドウ園を樹林や池、沼地が囲む美しい景観を持っています。今回の調査では、この豊かな自然環境が多様な生きものを育んでいる様子が見えてきました。

まずトンボでは21種が確認されました。その中でもオツネントンボ、ハラビロトンボ、シオカラトンボと言った、見晴らしの良い湿地や草地環境などを好む種が多く見つかりました。ブドウ園内を餌場として利用しているものと思われます。
チョウは5科26種が確認でき、モンキチョウ、ベニシジミ、ツバメシジミ、ジャノメチョウと言った種が多くみられましたが、同時にブドウ園の中に食草になるものが多数生育していることも確認できました。
これらを含めて昆虫全体では、8目64科、168種が確認され、オープンな草原環境を好む昆虫が多数を占めていました。

  • オツネントンボ

  • ハラビロトンボ

  • シオカラトンボ

  • モンキチョウ

  • ベニシジミ

  • ツバメシジミ

レッドデータブックなどに掲載されている希少種も見つかっています。(表に示す4目10科12種)
園内では、オオムラサキ、ベニモンマダラ、クロマルハナバチ、モンスズメバチの4種が確認されました。オオムラサキは、園内外ともに飛翔している様子が確認されましたが、残念ながら写真に収めることができませんでした。ベニモンマダラは、クサフジが食草ということもあり周辺部の草地環境を含めて多くの箇所で確認されました。クロマルハナバチは、アザミ類などの草本花上で吸蜜している個体が多くの箇所で確認され、モンスズメバチは、樹液に飛来した個体が確認されました。

  • モンスズメバチ

  • クロマルハナバチ

  • ベニモンマダラ

希少種確認種リスト

No.園内周辺希少基準①希少基準②
1 チョウ タテハチョウ オオムラサキ NT N
2 ウラギンスジヒョウウモン   VU NT
3 キマダラモドキ   NT NT
4 セセリチョウ ヘリグロチャバネセセリ     NT
5 シジミチョウ ムモンアカシジミ     NT
6 マダラガ ベニモンマダラ NT NT
7 ヤガ コシロシタバ   NT DD
8 ハチ ミツバチ クロマルハナバチ NT NT
9 スズメバチ モンスズメバチ DD DD
10 コウチュウ ガムシ コガムシ   DD N
11 カミキリムシ トラフカミキリ     NT
12 カメムシ コオイムシ オオコオイムシ     NT
合計4目10科12種 4 12 8 12

希少な種選定基準

希少基準①
「日本の絶滅のおそれのある野生生物 5 昆虫類」(環境省, 2015)における掲載種
VU:絶滅危惧Ⅱ類 NT:準絶滅危惧 DD:情報不足
希少基準②
「長野県レッドリスト(動物編)2015」(長野県, 2015)における掲載種
NT:準絶滅危惧 DD:情報不足 N:留意種

今回の調査では、樹林や池・湿地が存在する周辺部でより多くの昆虫が見つかっていますが、一方でブドウ園内でも、オープンな明るい環境を好む昆虫が多数見つかっていることから、周辺部で生まれた昆虫が、ブドウ園内に広がり生きている例が多いことが推測されます。一方で、小昆虫や草木類の花などを餌として、そこを餌場として利用している種も多く見つかっていることから、ブドウ園内で生まれ生活している種も多くいると言えそうです。
特に、ブドウ栽培のために利用されている作業道脇などに刈り残された草地環境は、草丈もあり、何種類かの花も見られるなど、ブドウ園を運用するために整えられた環境が草地性昆虫類にとっては好環境となっていることが伺えました。

来年も調査対象を変えながら、椀子(マリコ)ヴィンヤードの生態系調査を継続する予定にしています。

参考資料

  • シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー 2011, マリコ・ヴィンヤード メルロー 2012

※所属(内容)は掲載当時のものになります。

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