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メルシャン椀子(マリコ)ヴィンヤードでの希少種・在来種の植生再生活動で、在来種の定着が確認できました
- 環境
2017年07月28日
長野県上田市丸子地区陣場台地にあるメルシャン自社管理ブドウ畑椀子(マリコ)ヴィンヤードで、2016年から従業員参加による希少種・在来種の植生再生活動を開始しました。2017年7月の調査では、再生場所に在来種が定着していることが確認できました。
椀子(マリコ)ヴィンヤードは、かつて大半が遊休農地であったところをブドウ畑として造成した約20haに及ぶ広大なブドウ畑です。
2014年から開始した農研機構・農業環境変動研究センターの研究員の方々を招聘して行っている生態系調査において、258種の野生植物と30種の植栽種、8目64科168種の昆虫が確認できています。
さらに2016年には、ブドウ畑の中で希少な植生を見つけることができました。
椀子(マリコ)ヴィンヤードでは垣根栽培でブドウを栽培しており、地面は牧草や在来種のイネ科植物で覆われています。生産のために年に数度行う下草刈りにより、草原性の在来種や希少種にも陽が当たることになり、ブドウ畑中で生育することが可能になります。
垣根栽培のブドウ畑は広大な草原の役割を果たしているといえます。実は、草原は130年前には日本国土の30%を占めていたのに今は国土の1%以下にまで減少しているといわれています。
草原は、単位面積当たりの絶滅危惧植物の割合が非常に高いという調査結果もあり、貴重な生きものの生息場所になっているのです。
ブドウ畑の中での希少な植生の発見を受け、昨年の秋からブドウ畑の中で従業員参加による希少種を含む在来植物の再生・保全活動を開始しました。
専門家の指導で、希少種や在来種が生育していた場所の植物の一部を秋に刈取り、ブドウ畑の中の再生予定地に敷きました。これにより種が散布されて根付き、ブドウ畑の中で昆虫たちが捕食や移動に利用するビートルバンクと呼ばれる緑地帯ができることを期待しています。
7月の初めに調査したところ、複数の在来種が再生予定地で定着し、花を咲かせているのが確認できました。初年度に複数の植物の定着が確認できるのは良好な結果とのこと。花が咲かないと判別できない植物もあるので、9月初めに再度調査を実施して確認することにしています。
また、この成果を受けて、今年の秋にも従業員参加による植生再生活動を継続する予定にしています。
再生場所に定着した在来種
※所属(内容)は掲載当時のものになります。