TCFD提言 •TNFD提言などに基づいた統合的な環境経営情報開示
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)新ガイダンス対応およびTNFDフレームワーク案などに基づいた統合的な環境経営情報開示は、環境報告書2024年版で開示しています。
以下をご覧ください。
統合レポートの中でも開示しています。
概要
以下は、環境報告書2024で開示している「TCFDフレームワーク・TNFDフレームワーク案などに基づいた統合的な環境経営情報開示」の抜粋となります。
詳細は、環境報告書2024をご覧ください。
本パートでは、キリングループが適切かつ継続的に価値創造するために、気候変動の影響や自然資本・容器包装の課題をどのように分析・評価し、緩和や適応などの移行戦略を推進しているかを記載します。
単独の解決策ではトレードオフのリスクがあり統合的なアプローチが必要なマテリアルな重要テーマ(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)について、可能な範囲で統合的に説明するように努めています。
TCFD提言(2018年6月)、TCFD新ガイダンス(2021年10月)およびTNFD提言v1.0(2023年9月)に準拠して記載しています。
一部で、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が公表(2023年6月26日)したサステナビリティ情報開示基準(S1)と気候関連情報開示基準(S2)などを参考としています。
ガバナンス
監督体制および執行体制の詳細については、環境報告書2024をご覧ください。
スキルマップおよびコンピテンシーは、以下で開示しています。
https://www.kirinholdings.com/jp/purpose/governance/provisions/
役員報酬と中期経営計画に掲げる主要な経営指標の1つである非財務指標の関係は、下記の図の通りです。詳しくは、下記をご覧ください。
https://www.kirinholdings.com/jp/purpose/governance/conpensation/
グループ/事業会社の経営計画に組み込んだ2022年−2024年CSVコミットメントは、下記で開示しています。
https://www.kirinholdings.com/jp/impact/csv_management/commitment/
監督体制および執行体制およびその役割・権限、メンバー、会議体の開催頻度、実績は以下の通りです。
リスク管理
シナリオ分析で検出された重要な気候変動の物理的リスクと移行リスクへの対策は、マネジメントによって緩和・適応戦略に展開され、取締役会の監督の下で目標管理されています。自然資本への依存度・影響度、循環型社会構築を含むサステナビリティ関連リスク全般についても同様です。詳細は、環境報告書2024をご覧ください。
リスクマネジメント体制は以下の通りです。
戦略
戦略のパートでは、財務へのインパクト評価、気候変更に関するシナリオ分析、自然資本に関するリスクと機会を含むレジリエンス評価の詳細について説明します。
インパクト評価結果
気候変動・自然資本・循環型社会による財務へのインパクト評価の詳細は、環境報告書2024をご覧ください。
気候変動・自然資本・容器包装が財務に与えるインパクトの評価結果は以下の通りです。気候変動と自然資本・容器包装で相互に関連があるインパクトは、まとめて示しています。法規制により、設備の耐用年数に達する前にボイラーやトラックの燃料が水素や電気に代わる可能性は低いと想定していますが、参考として「関連設備残存簿価」も開示しています。気候変動や自然資本で試算できている財務インパクトの範囲は限定的であり、財務影響試算だけではリスクの判断ができないため、シナリオ分析による定性的な分析・評価とあわせて戦略に反映しています。
財務影響
レジリエンス評価
気候変動のシナリオ分析、自然資本でのLEAPアプローチによるレジリエンス評価は、以下のとおりです。
製造拠点水リスク/ストレス
気候変動による主要農産物収量へのインパクトと2050年前後の農産地の水ストレス
自然資本のマテリアリティ分析
更新されたLEAPアプローチを含むTNFD提言v1.0を参照し、改めてキリングループの自然資本関連の課題の評価を行いました。LEAPアプローチの対象とする優先地域・優先対象を設定するスコーピングのフェーズで、依存度とインパクトの総合的な評価を実施した結果、コーヒー豆、ホップ、紅茶葉、大豆が優先対象となりました。優先対象の中から具体的な活動が行えるスリランカの紅茶農園を対象に、LEAPアプローチによるリスクと機会の分析・評価を行いました。その結果、スリランカの自然資本が気候変動だけではなく経済発展に伴う様々な影響を受けていることが分かりました。いずれもキリングループが2013年から行っている認証取得支援や、2023年から開始した環境再生型農業を実践するための「リジェネラティブ・ティー・スコアカード(以降、スコアカード)」によってリスクを低減できる可能性が高いことが把握できました。
分析・評価手順は以下の通りです。
スコーピングの実施
キリングループ全体の事業領域・バリューチェーンを俯瞰したうえで、原料農産物の調達段階において自然への依存度・影響度が高いという作業仮設を設定しました。そこで、「キリングループ持続可能な生物資源利用行動計画」の対象である「紅茶葉、紙・印刷物、パーム油、コーヒー豆、大豆」、および調達量の多い「大麦、ホップ、ワイン用のブドウ」について、「事業が自然に与えるインパクト」と「自然関連への事業の依存性」の2つの軸で分析・評価し、LEAPアプローチによる詳細な分析対象とするべき農産物をスコーピングしました。
「自然関連の事業の依存度」は、TNFD提言で依存の類型として示されている原料農産物の「供給サービス」への依存度合いを評価することとし、独自の評価指標として「調達量」「グループ売上収益に与える影響」、「原料生産地の代替可能性」および「輸入先への偏り」の指標を用いました。
「事業が自然に与えるインパクト」は、TNFD提言が考慮するべきとしているIPBES※1による5つの影響要因のうち、農作物別のデータが利用可能な「栽培段階のカーボンフットプリント」「土地利用フットプリント」「ウォーターフットプリント」の指標を評価しています。また、SBTNや欧州森林破壊防止規則(EUDR)において高リスクな農産物としてリストに記載があるかどうかも確認しました。
スコーピングでのマテリアリティ分析評価結果
「事業が自然に与えるインパクト」と「自然関連への事業の依存性」を分析・評価を実施しました。横軸をヒートマップの依存度、縦軸を影響度として作成した「主要原材料のマテリアリティ分析」から、コーヒー豆、ホップ、紅茶葉、大豆の4つを優先対象としました。評価項目ごとの重みづけ等、まだ十分検討できていない部分もありますが、10年以上にわたり自然資本の取り組みを行ってきた知見とは大きな齟齬がなく、納得性のある結果だと判断しています。
LEAPアプローチによるリスクと機会の分析・評価
前項のスコーピングで優先対象・優先地域と設定したスリランカの紅茶葉について、依存と影響、リスクと機会を分析・評価しました。LocateとEvaluateは、2023年に実施して環境報告書で開示した情報を利用しています。
Assess(リスクと機会の評価)
Evaluateフェーズで整理した重要なインパクトドライバー・生態系サービスのリストを基に、4つの環境資産(水資源、陸域生態系、陸地、大気系)ごとに依存経路・影響経路の関係図を作成し、重要な自然資本ごとに外部要因や外部ステークホルダーも特定して、リスクと機会を抽出しました。その上でシナリオ分析を実施しました。シナリオの横軸を「生態系サービス」とし、右が自然資本が現状レベル、左が自然資本の劣化としています。縦軸は「市場原理」とし、上が規制が厳しく消費者・投資家の意識も高い、下が規制が緩く消費者・投資家の関心も低いとしました。この中で「自然が劣化する」シナリオ#2・#3を最も現実的なシナリオとして選定し、前項までに把握したリスクと機会、および財務影響の大小を基にリスクマップを作成して評価を行いました。このようにして得られた「重要な示唆」から、下記のように今後の方向性(Prepare:報告の準備)をまとめました。
今後の方向性(Prepare:報告の準備)
Assessから得られた重要な示唆を受けて、スリランカ紅茶農園での今後の活動を以下のように纏めました。今後、中長期のロードマップに反映していく予定です
環境課題へのアプローチ
炭素社会、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーへの移行計画は個別に記載しましたが、実際には相互関連性を考慮した一体の計画として実行します。前述の各移行計画の具体的な活動と実績をまとめると、以下の通りです。自然資本について、具体的な活動と実績をSBTNのAR3Tに準拠して以下にまとめました。
移行計画
移行計画は、脱炭素社会、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーの同時達成を事業継続性を担保しながら実現するために、個別の計画としてではなく統合された計画になるように策定しています。気候変動の緩和と適応の側面から見た移行計画は、以下になります。
脱炭素社会への移行計画
気候変動の移行計画に関するロードマップおよびScope1 とScope2 の排出量削減、投資額は以下の通りです。
移行計画の詳細、自然資本・容器包装の移行計画は、環境報告書2024をご覧ください。
指標と目標
指標と目標の詳細は、以下をご覧ください。