構造改革による「収益力」の一層の改善を図り、
「資産効率性向上」「財務柔軟性向上」を同時に実現しながら、
企業価値を高めます。
取締役 常務執行役員(CFO)伊藤 彰浩
のれん等償却前ROE向上と平準化EPSの成長に向け、CFOとして3つのことに取り組んでいます。1つ目は、収益力の改善です。構造改革によるグループの再生を進め、収益力を向上させます。2つ目は、資産効率性の向上です。保有資産の見直しや事業ポートフォリオ最適化を検討し、バランスシートを適正化します。3つ目は、財務柔軟性の向上です。安定した配当を実現するとともに、有利子負債の着実な返済を進め、財務レバレッジのバランスを最適化します。
のれん等償却前ROEの向上に向け、当期純利益率向上を柱にしています。事業会社は、ブランド力強化・コスト削減等による売上高営業利益率向上をガイドとして設定しており、実行状況をモニタリングしています。2016年中計初年度の営業利益が計画を上回るなど、順調に推移しています。グループ本社では、事業間の最適な資源配分を実行するとともに、本社機能の業務改革に取り組み、業務統合等による業務生産性向上を進めます。
収益性の低い資産の見直しを進め、総資産回転率向上に取り組んでいます。ブラジルキリンのマカク工場売却、ライオンのワイン事業譲渡等、資産圧縮による効率化と経営資源の選択と集中を進めました。
創出したフリーキャッシュ・フローから、財務柔軟性の向上のための有利子負債削減を前倒しで進めました。将来の戦略投資にも対応できるように、現格付※を維持したいと考えており、2018年末のネットD/Eレシオを0.7以下まで下げます。当社は企業価値向上のための効果的な戦略オプションの一つとしてM&Aを検討しますが、その目的を明確にした上で、適正な価格であることを前提とします。
平準化EPSに対する連結配当性向30%以上の安定配当の方針に基づいた株主還元を行います。2016年度は、中計を 上回るフリーキャッシュ・フローが創出できたことを勘案し、1円増配しました。今後、さらなる収益力改善によって平準化EPSを成長させることにより、株主還元の充実につなげていきたいと思います。また、株主や投資家の皆様の信頼を高める経営を行い、引き続き「適切な情報開示」や「建設的な目的を持った対話」によって、当社では5%程度と認識している株主資本コストの低減に努めていきます。
グループ全体の収益性の改善やBS上の負債の圧縮が図られ、株主価値向上に資する最適な選択肢だと考えています。現在、売却を完了する時期が未定のため、売却損益は未定ですが、決定次第速やかに開示します。