「キリングループ カーボン・クレジット方針」を策定
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2025年3月24日
キリンホールディングス株式会社
キリンホールディングス株式会社(社長 COO 南方健志)は、「キリングループ カーボン・クレジット方針」を2025年3月に策定しました。
キリングループは、「キリングループ環境ビジョン2050」で2050年までにバリューチェーン全体のGHG※1排出量をネットゼロにするという目標を掲げており、SBTイニシアチブ(以下、SBTi)※2によるSBTネットゼロ※3の認定を世界の食品企業として初めて取得しました。当目標の達成に向けて、SBTiのガイダンスに則り、Scope1,2,3における自社努力による排出削減を優先して取り組んでいますが、ネットゼロを達成するための手段の一つとして残余排出量のオフセットにカーボン・クレジット※4を利用することも検討しています。
近年、活発化しているカーボン・クレジット市場では、削減効果を示すデータの信頼性や持続可能性等のクレジットが訴求する価値の質がさまざまであることが問題視されています。低品質のカーボン・クレジットは、実際のGHG削減に寄与しない可能性があり、期待する環境への貢献が実現されないばかりか、カーボン・クレジットを利用する企業の信頼性が損なわれることがあります。一方で当社においては、カーボン・クレジットの市場動向を調査した結果、森林保全や持続可能な農業に由来するカーボン・クレジットには環境再生や地域社会の持続的な発展を支援する手段として一定の有効性があると認識しています。
今回策定した「キリングループ カーボン・クレジット方針」では、カーボン・クレジットの利活用の際に、キリングループとして生物多様性への影響や地域社会へのコベネフィット※5を重視する価値観や質を各事業会社※6で自律的に確認・実行できるように方針とチェックリストを作成※7しました。
「キリングループ環境ビジョン2050」では脱炭素社会構築に向けてリードしていくという目標も掲げています。この目標達成のために、質の高いカーボン・クレジット創出につながる研究も実施しています。キリン中央研究所では植物大量増殖技術を活用した森林由来のカーボン・クレジットを創出する研究を、飲料未来研究所では農産物へバイオ炭を活用する研究を実施しています。キリングループは環境課題と社会課題の多様性とその変化を多角的にとらえ、自社のバリューチェーンのみならず、地球規模での脱炭素社会構築へ貢献していきます。
※1 温室効果ガス
※2 2015年にCDP、国連グローバルコンパクト、世界資源研究所およびWWFの4団体で設立されたイニシアチブ。
※3 パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した温室効果ガス排出削減目標として、2015年にCDP、国連グローバルコンパクト、世界資源研究所およびWWFの4団体で設立されたSBTイニシアチブにより認定されたもの。
※4 温室効果ガスの削減量や大気中からの除去量等を企業間で売買できる仕組み。
※5 生物多様性の喪失や干ばつ等の環境問題・雇用や地域経済の問題を改善し、温室効果ガスの排出量の削減を同時に実現するコベネフィット(共通便益)アプローチ。
※6 対象範囲は以下の通り、(キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャン、小岩井乳業、協和発酵バイオ、協和キリン、Four Roses Distillery, LLC、Interfood Shareholding Company、LION Pty Ltd、Blackmores Limited、Coca-Cola Beverages Northeast, Inc.)
※7 カーボン・クレジット方針およびチェックリストの作成におけるアドバイザリーは、東京海上アセットマネジメント株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、株式会社三菱UFJ銀行より受領。
「キリングループ カーボン・クレジット方針」の概要
全体方針
キリングループは、調達および創出するカーボン・クレジットについて質の高さの確認をした上で、生物多様性への影響や地域社会へのコベネフィットを重視します。社会や環境に負の影響を与えるものでないこと、高い信頼性、透明性、持続可能性を有していることを、チェックリストを通じて確認します。
クレジットの選定基準
・プロジェクト種別:ネイチャーベースのカーボン・クレジットを優先的に選定。
・追加性:GHGの削減や吸収が新たな行動を促すものであることを保証。
・永続性:削減や吸収が長期間にわたって維持されることを確認。
・透明性と信頼性:データの公開状況や第三者検証の有無を精査。
・ガバナンスと二重計上の回避:管理体制やリスク管理の実施状況を確認。
・コベネフィット:環境と社会に好影響を与えるプロジェクトを選定。
・ビンテージとエリア:発行年やプロジェクトの実施場所を考慮。
クレジット選定・評価における有効性の向上(ステークホルダーエンゲージメント)
クレジットは創出側と購入側では情報の非対称性が存在し、購入側の企業では情報へのアクセスが困難なケースも想定されます。したがって、上記基準での評価にあたり、実地調査やステークホルダーとの対話が重要であると考えています。
方針概要ページ
今後もキリングループは、複合的に発生し相互に関連する環境課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)に統合的に取り組み、豊かな地球の恵みを将来にわたって享受し引き継ぎたいという思いをバリューチェーンに関わるすべての人々とともにつなぐべく、自然と人に「ポジティブインパクト」を与えるさまざまな取り組みを積極的に進めていきます。
参考
キリン中央研究所:森林由来カーボン・クレジットの創出に関する研究
公開リンク:https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2025/0324_01.html
飲料未来研究所:ビール大麦試験圃場へのバイオ炭施用による効果を検証する新たな共同研究を開始
公開リンク:https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2024/0919_02.html
キリングループ環境ビジョン2050:キリングループ環境ビジョン2050 | 環境 | キリンホールディングス (kirinholdings.com)
キリングループ「環境報告書」2024:環境報告書 | IRライブラリ | キリンホールディングス (kirinholdings.com)
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