多様性

キリングループでは、グループ共通の価値観“One KIRIN Values”として、「熱意」(Passion)、「誠意」(Integrity)、「多様性」(Diversity)を掲げています。
“One KIRIN Values”に「多様性」(Diversity)が組み込まれたのは2019年。従業員の声で組み込まれたこの「多様性」(Diversity)は、キリングループが目指す、世界のCSV先進企業となるためのドライバーであり、新しい価値の創造に欠かせない力です。
キリングループにおける多様性とは、ジェンダー・障害の有無・年齢・国籍といった属性の違いに加えて、仕事はもちろん、家庭・地域・社会に関わっていくなかで、一人ひとりが身につけたスキルや経験、価値観などから生まれる「視点の違い」を生かして価値創造につなげていくことです。
そのためキリングループは、様々な属性や視点を持つ従業員が働きやすい環境づくりと、働きがいのある組織風土の実現に取り組み、多様な従業員が自身の強みを発揮し合うことで従業員も組織も成長しながら、新たな価値を創出していきます。

トップメッセージ

キリングループは、グループ共通の価値観“One KIRIN Values”に「熱意」、「誠意」、「多様性」を掲げています。
中でも「多様性」は、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ための重要なドライバーであると位置づけています。
価値観や考え方、能力・経験などにかかわらず、誰もが働きやすく、能力を100%発揮できる職場環境を整備し、高い専門性やチャレンジ精神あふれる多様な人財が、自ずと集まってくるような会社にしています。
多様なグループ従業員一人一人が社会とのかかわりを意識しながら新たな価値創造に挑むことによって、持続的な成長と企業価値の向上を目指していきます。今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役会長 CEO 最高経営責任者
磯崎功典

キリングループの多様性推進プランについて

キリングループでは、2019年に長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(KV2027)」を策定し、世界のCSV先進企業となるために必要な組織能力として、「多様な人財と挑戦する風土」を掲げています。近年、外部環境変化の激しい不確実性が高い時代に突入しており、グループを取り巻く事業環境も厳しさを増す中で、キリングループが持続的に成長するためには、「人的資本経営」を実践し、CSV経営に共感する多様な人財が、個々の可能性を最大限に発揮してイノベーションを加速させる必要があります。
このような背景を受け、イノベーション実現の推進力である多様性を改めて人財戦略の重要な取り組みと位置付け、2023年に「Diversity」「Equity」「Inclusion」の3つの柱からなる新たな「キリングループ多様性推進プラン」を作成しました。
このプランに沿って、「多様な人財と挑戦する風土」の実現を加速していきます。

多様性推進プラン

キリングループの多様性推進の取組みとその成果

  • キリングループの多様性推進のロードマップ

キリングループの多様性推進の歩み

2006年のキリン版ポジティブアクションの制定以降、各フェーズにおいて経営陣の積極的なリーダーシップにより多様性の取り組みが社内外へ拡大しています。

キリングループの多様性推進の成果

多様性推進の結果は、多様な人財が活躍するための制度や施策、組織風土改革に留まらず、製品や社会課題解決、社外評価にも繋がっています。

社外評価

令和3年度「なでしこ」に選定

キリンホールディングスは、女性活躍推進が優れた企業として経済産業省・東京証券取引所が共同で選定する「なでしこ」に選定されました。
当社では、2022年に策定した「女性活躍推進計画2030」に基づき、計画的に女性の育成や登用を進めています。今後も、出産・育児などのライフイベントを両立しながらキャリア形成できる環境整備や、管理職のマネジメント力向上のための取り組み、自由度を高めて労働生産性やチャレンジできる機会をつくる“働きがい改革”などを進め、女性はもちろん全ての社員が強みを発揮できる組織づくりを進めて行きます。

ダイバーシティ経営企業100選に選定

キリンホールディングスは、2013年、経済産業省が主催する「ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれました。ダイバーシティ経営とは、多様な人財が能力を最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し価値創造につなげている企業経営のことであり、キリングループは女性を含めさまざまな視点を企業の強みとし、お客様への新たな商品や価値の創出につながっていることが評価され受賞に至りました。今後も、多様な人財一人ひとりが活躍できる組織として、ダイバーシティをキリングループの成長に生かしていきます。

令和6年度「PRIDE指標」 8年連続ゴールド認定

キリンホールディングスは、一般社団法人work with Prideが実施するLGBTQ+などの性的マイノリティ(以下、LGBTQ+)への取組みの評価指標「PRIDE指標」で、8年連続ゴールドを受賞しました。
当社では人権を尊重し、多様な人財の持つ能力を活かす組織風土をつくるため、社内の当事者が生き生きと働けるための環境整備や従業員の理解増進などに努めています。
2017年にはグループ全従業員の行動規範であるコンプライアンス・ガイドラインで、個人の尊厳を守り、性的指向・性自認によって不当な差別を行なわないことを明記しました。また、これまで法律婚のみを対象としていた慶弔休暇などの取得要件を事実婚・同性婚にも拡大し、これらの周知を図る研修も実施しています。
さらに、2023年社内で”キリンアライズ(通称:KAZ)”というアライ・コミュニティを本格稼働するなど、社員のLGBTQ+の理解浸透に取り組んでいます。

「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」認定を8年連続で取得

キリンホールディングスは、保険者と連携し”健康経営”を実践している特に優良な法人として、「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」の認定を、経済産業省と日本健康会議から8年連続で受けました。キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを目指しています。そしてその重点課題の1つに「健康」を選定し、こころ豊かな社会の実現に向けて取り組んでいます。今後も、「健康経営」の実現に向けて、キリングループならではの強みを生かした「ヘルスサイエンス領域」を育成するとともに、お客様に「健康」をお届けする企業として従業員が積極的に健康づくりを行い、一人ひとりが明るく生き生きと働きがいを高め、健康な状態と安全に働ける環境や機会をつくっていきます。また、引き続きメンタルヘルスや生活習慣病予防に取り組むとともに、健康リテラシーの向上を目指し、酒類メーカーとしても従業員の適正飲酒が社会の手本となる取り組みを推進していきます。

“エレキソルト”開発でウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞

女性のキャリアとライフスタイルを支援する月刊誌「日経WOMAN」が、年間を通して各業界で活躍した働く女性に贈る「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2025」にて、キリンホールディングス ヘルスサイエンス事業部 新規事業グループ 佐藤 愛さんがウーマン・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。
健康寿命に関わる日本人の「塩分のとり過ぎ」という課題解決に向けて、おいしさを我慢しなくてもいい減塩手法を実現するために、2019年から明治大学と共同で「電気の力で食事の味わいを変える」技術の開発や実験を開始。食品本体が持つ塩味を約5割増強する技術を搭載したスプーン&おわん型の実験機「エレキソルト」の開発に成功しました。そして19年にキリングループ従業員のアイデアの事業化に向けた社員のチャレンジを支援する「キリンビジネスチャレンジ」を経て、エレキソルトを事業化、2024年には商品化を実現しました。

キリングループの多様性推進状況に関するデータ

女性活躍推進に向けた取り組み

女性の活躍推進の考え方

女性が自主性・創造性を発揮し生き生きと活躍する組織風土の実現に早くから取り組んできました。新規採用の約半数が女性となるよう優秀な人財の公正選考に取り組むほか、女性がさらに仕事にやりがいを持ち、自己成長し続けることへの意識を促すためのキャリア支援やリーダー育成研修などを行うほか、結婚や出産などのライフイベント時にも女性がパートナーとともに活躍するために必要な制度や仕組みづくりを行ってきました。2022年には、キリンホールディングスのリーダー女性比率を2030年に30%にすることを掲げた「女性活躍推進長期計画2030」を策定しました。以下ではキリンホールディングス主体で行っている取り組みについてご紹介します。

  • 女性の活躍推進の考え方

キリン・メンタリング・バトン

経営職女性社員が、自分でも気づいていない自らのアンコンシャス・バイアスや経営職として必要なスキル(視座、視点、視野、潮流、マネジメント手法の選択肢)への気づきを得ることや、それぞれ自分らしいリーダー像を創ることを目的に、経験豊富なメンターとのメンタリングを行う機会をつくっています。

  • 写真は、研修受講者(メンティ)の半年間の学びに関する個人発表に対し、フィードバックを行うメンターの様子

キリン・ウィメンズ・カレッジ

中堅女性社員を対象にビジネスリテラシーを備えた次世代リーダー育成を目的とした選抜型研修です。全7回のセッションで、育児中の社員でも参加しやすい時間設定(10:00〜17:30)、育児休業中でも申し込み可能としています。

  • 受講時復職前提での受付
  • 2023年に発展的解消

国連機関UN Women 「女性のエンパワーメント原則」の署名

キリンホールディングスは、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを目指す国連機関UN Women (ユー・エヌ・ウィメン)と国連グローバル・コンパクトの協力によって策定されたガイドライン「女性のエンパワーメント原則~平等はビジネス向上のカギ~」に、2012年12月に署名しました。このガイドラインをきっかけに、外部からの視点も取り入れながら女性の活躍をさらに推進していきます。

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」の行動宣言に賛同

キリンホールディングス代表取締役社長の磯崎功典は、内閣府男女共同参画局の「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」が提唱する行動宣言に賛同しています。

「30% Club Japan」に加盟

取締役会に占める女性割合を2030年に30%とすることを目標とし、企業のガバナンス強化はもちろん、持続的成長の促進、そして国際的競争力の向上、ひいては持続可能な日本社会の構築に寄与することをビジョンとしています。

障害者雇用の取り組み

キリングループでは、2011年に制定した「キリングループ障害者雇用憲章」の中で、障害のある人もない人も、誰もが生き生きと働くことができるキリンらしい障害者雇用に取り組むことを定めています。
意識・物理面のバリアフリー化や合理的配慮など必要な職場環境整備を行いつつ、様々な背景を持つ人財が刺激しあうことによって生じる、多様な市場と変化への対応力、さらには新しい価値の創造力の向上をめざし、グループ各社が連携して、障害をもつ社員へのキャリア形成支援・職域の拡大や、制度・仕組みのバリアフリー化を進め、個性や強みを活かした活躍を支援を行っています。

知的・発達障害者雇用の取り組み

キリングループでは地域の特別支援学校と連携し、学生の職場体験実習の受け入れをすすめています。また、2019年には「キリンオフィスサービス(株)」を設立、障害のあるメンバーが本社内総務機能の一環を受け持ち、グループ本社全体の業務効率化と、障害のある社員の活躍領域の拡大、および多様な雇用をより進めていくための体制強化を図っています。

  • 「障害」については「障がい」とひらがなで表記するなど、表記の在り方をめぐる議論があり、それぞれに論拠があります。ここでは「障害」を障害者その人の問題とするのではなく、社会全体で解消していくべき「バリア(障壁)」として捉える考え方に基づき、「障害」の表記を採用しています。

シニア層の活躍推進

仕事の成果発揮において年齢等は関係なく、それまで培った経験や能力を最大限に発揮して業績貢献しつつ、技能伝承をはじめポジティブな影響を若い世代に伝えていける環境整備に努めています。

再雇用制度(最長65歳到達日の属する月の末日まで)

最長65歳到達日の属する月の末日まで。

キャリアデザインセミナー

50歳到達社員に今後のキャリアを自律的にすすめてもらう契機とするセミナー。

ライフセミナー

50歳代の社員を対象に退職後までを含めた生活設計を考える機会を提供するセミナー。パートナー参加可。

キャリアコンサルタントの配置・支援

国家資格を持つ社員を人事部門に配置、随時相談・支援を行える体制を講じています。

性的マイノリティ(LGBTQ+)に関する取り組み

キリングループでは、LGBTQ+について、経営陣から全従業員に向けたメッセージの発信や、人権研修での啓発、採用面接官の理解促進、外部相談窓口の設置などの取り組みを行ってきました。
2017年7月には性別、年齢、国籍などとあわせて、性的指向・性自認について不当な差別や個人の尊厳を傷つけない旨を明確化し、社員の行動規範を具体的に定めた『コンプライアンス・ガイドライン』を改定しました。2018年には人権方針を策定し、事業展開する各国において、関係するさまざまな人権課題についての理解を深めるとともに、性的指向・性自認によって不当な差別を行わないことを宣言しました。
また配偶者や親族を対象事由としていた慶弔休暇・手当・社宅制度などの各種社内制度について、同性婚、事実婚についても、法律婚と同等の制度活用ができるように制度を改定しました。さらに性別適合手術・ホルモン治療を事由に、積立休暇(失効する年次有給休暇について、最大60日まで積立可能なもの)を取得できるようにするとともに、入社後に戸籍変更を予定している従業員等は、入社時点から社内通称名称を使用することができるようにするなどの取り組みを進めています。

  • work with Pride

多様性を広げる取り組み

自分ゴト化に向けた取り組み

「多様性」や「違い」を受容し、価値創造につなげるための階層別アプローチ

多様性推進は、本社や多様性推進担当部署だけの課題ではなく、全社的な経営課題です。
経営陣自らが理念の浸透に向けメッセージを直接的に内外に発信するほか、経営職から一般従業員に至る社員の行動・意識改革に向け、人事・評価制度、人財育成・研修体系、表彰体系を全社的に整備しています。

階層 取り組み(例)
経営陣
  • 経営陣の属性多様性推進
    • 女性役員の登用
  • 経営課題への組み込み
    • 重要成果指標(非財務目標)として「多様な人財と挑戦する風土」に関するスコアを指標化。従業員エンゲージメント調査の結果を重要成果指標の非財務目標として設定
    • 経営会議において多様な人財・風土に関する課題を討議(経営トップによるPDCAモニタリング)
    • 長期経営構想、中期経営計画、グループ経営理念体系等の浸透に向けた活動(メッセージ発信、役員による事業所巡回・対話等)
  • 経営陣のコミットメント強化
    • 経営トップによる社外への発信・対話(IR、CSV活動等)
    • ダイバーシティに関する政府・地方公共団体や公的団体の活動への賛同
    • トップ層研修において多様性・人権に係る外部有識者の講義を受講
    • 新任役員への多様性に係る研修による理解浸透(アンコンシャス・バイアス研修 等)
リーダー
(経営職)
  • リーダー層による多様性推進力強化
    • リーダー層のリーダーシップ開発
  • 組織課題への組み込み
    • 部門別の総労働時間、所定外労働時間、会議時間等のイントラネットへの公開
    • 部門ごとのエンゲージメントスコアの把握、PDCAモニタリング
    • 「多様な人財と挑戦する風土」に関する指標の非財務指標への組み込み
    • 熱意・誠意や多様性に係る行動評価
  • リーダー層のコミットメント強化
    • 多様性に係る研修(新任経営職向け多様性研修、アンコンシャス・バイアス研修、心理的安全性研修 等)における多様性理解浸透
メンバー
(一般社員)
  • 業務課題への組み込み
    • 熱意・誠意、多様性に係る行動評価
  • メンバーのコミットメント強化
    • 多様性に係る研修(新入社員向け多様性研修、アンコンシャス・バイアス研修、心理的安全性研修 等)における多様性理解浸透
階層横断施策
  • 多様性を活かす組織づくり
    • 各種ハラスメント防止研修
  • 組織全体のコミットメント強化
    • 多様性推進研修・意識調査実施(多様性受容・活用浸透を目的に、国内グループ従業員約20000人を対象に実施)
    • 人権研修(毎年受講が義務付けられており、ワークが含まれる)等における社内外の最新の人権・多様性に関する知識の習得・実践

トピックス

4カ月間の育児休業を取得 多様な働き方を認め合い、尊重する

日本は、育休中に給付金を受給できる期間などを考えると世界的に見ても非常に優遇されているはずなのに、日本の男性の育休取得率は世界的にもダントツに低く10%を大きく下回る。
政府も男性の育休取得率を世界の先進国並みの水準(30%)まで上げたいと目標を掲げていて、間違いなくその流れは強くなっていく。まだまだ社会では当たり前になっていない育休を長期間取得できるようなきっかけに、自分がなれればいいなと思った。

多様性を広げるキリングループの取り組み

多様性を発揮できる組織風土づくりに向けた会社の取り組み、および個人の価値観から一歩外に出て、自身の多様性を広げていくことにチャレンジしている社員の声を紹介します。

ハラスメントの未然防止に向けた取り組み

キリングループでは、「いかなる形態のハラスメントも許さない」という基本方針にもとづき、ハラスメントを未然に防止し、いきいきとした明るい職場づくりを目指しています。
国内グループ会社全体で毎年設定しているハラスメント撲滅月間においては、グループ各社・事業所の経営トップが「ハラスメント撲滅宣言」を作成し、メンバーに対して発信しています。
国内グループ社員には、ハラスメント防止研修を実施して、ハラスメント防止に向けた啓発、社内外のホットライン窓口・ハラスメント相談窓口の周知を徹底しています。
更に、国内グループ会社の管理職に対しては、新任経営職研修において、ハラスメントに関する基礎知識、万が一ハラスメントが発生した場合の対応ルールなどをインプットしています。
キリングループでは、階層別に研修や施策を実施することで、ハラスメントの未然防止に取り組んでいます。

関連リンク