消費者志向自主宣言・フォローアップ

理念

  1. 食と健康の領域で、情熱をもって真摯にお客様に寄りそい、一緒になって幸せな未来をめざします。そして、技術に立脚した品質本位のものづくりを通じて、人々の健康で心豊かな生活に貢献します。
  2. 安全で安心いただける商品・サービスを提供し、お客様の声を大切にして満足度の向上を図り、信頼される企業をめざします。
  3. 社会と共有できる価値の創造(CSV)という経営方針のもと、「健康」「地域社会」「環境」という3つの社会課題の解決に主体的に取り組むことで、お客様の幸せに貢献します。
  • CSV=Creating Shared Value

取組方針

1.常にお客様の立場に立って考えるという企業風土の醸成

  1. お客様本位、お客様満足が第一であるという経営トップの考え方を、従業員との直接対話等を通じて社内への浸透を図ります。
  2. お客様が価値を認めご満足いただける商品・サービスを提供できるための社内研修を実施します。

2019年 主な取組・成果

(1)「お客様本位」の浸透と実践に向けて
  • 創業以来の姿勢である「お客様本位」の考え方、お客様や社会の課題を解決していくことの重要性を“社長メッセージ”として、キリングループ全体への社内報や社内イントラネットを通じて発信しています。また、経営陣がグループ各社の全国26事業所を巡回し、従業員との直接対話を通じて浸透を図りました。
(2)社内研修の実施
  • お客様からのお申出に対する営業担当者の応対品質の向上を図るため、2019年度もオンライン研修と、お客様相談室員が講師となる集合研修を、全国28の営業拠点で計45回開催しました。

2.お客様の安心につながる情報の適切な開示

  1. 適正飲酒の啓発活動を継続的に行っていきます。
  2. 商品・サービスにかかわる品質情報のコミュニケーションを充実させることで、安心感や信頼感の向上につなげていきます。

2019年 主な取組・成果

(1)適正飲酒啓発への取組
  • アルコールの有害摂取の根絶に向けて、飲み方によってはお酒が危険なものになり得ることを伝え、適正飲酒を促すマナー広告を展開。飲酒習慣が固定化する前の20代男女を対象とし、自分にも起こり得る身近な問題としてイッキ飲みの危険性を描き、ユーチューブやツイッターを通じて好評価をいただきました。再生回数は目標を大きく上回り、多数の記事化および視聴されたお客様からの共感とフィードバックをいただきました。
  • 昨年キリンWebサイトで紹介した「適正飲酒簡単ガイド」をコンパクトにまとめた動画を新たに制作し、適正飲酒啓発教材のラインアップが広がりました。
  • キリンホームページのお酒関連サイトにアクセスする際の年齢認証を強化しました。また、サイト内の「スロードリンク」※1 ページを拡充するなど、適正飲酒に向けたキリンの取り組み姿勢が伝わる内容としました。またノンアル商品のラインナップに、「カラダFREE」を加え、お客様の選択肢の幅を広げました。
  1. スロードリンク=お酒の時間をゆっくり楽しむこと、誰かと語り合いながら、食事のおいしさをよろこび、ほどよく飲んで、スマートに心地よく過ごす。
    飲む「量」ではなく、流れる「時」に心が満たされる。これからの時代のお酒の楽しみ方。
(2)WEBでの開示情報の拡充
  • キリンWebサイト内の「WEB品質保証室」では、お客様に安心してお飲みいただくために、キリン商品の情報をスマートフォンなどで手軽に確認できるサービスを提供しています。お客様のお手元の商品の情報を調べたり、原材料や栄養成分などのお客様の関心やニーズにあわせて検索することができます。
  • 2019年度には、商品の原料原産地の情報提供を開始しました。商品のパッケージには、法令で定められた重量割合が最も高い原材料の原産地を表示していますが、「WEB品質保証室」では、その他の主な原材料についても原産地情報を提供しています。
  • 機能性表示食品については制度に則り、機能性関与成分の分析が適切に実施されていることをお客様が確認できるよう、2019年秋より分析値の公開を始めました。

3.お客様の声を活かす仕組みづくり

お客様からいただいた貴重な声を全従業員に共有し、より良い商品・サービスの提供に活かしていきます。

2019年 主な取組・成果

(1)お客様の声への対応と共有
  • お客様相談室では、ご連絡を受けた時点で、その内容を情報管理システムに入力し、社内の各関連部門と連携しながら、迅速かつ丁寧に対応しています。2019年度は 年間約61,000件のお問い合わせやご意見、ご指摘※2をいただきました。
    また、全国の工場においても、工場見学時にいただくご意見やご指摘も同様に、情報管理システムに入力し、より良い商品・サービスの提供に活かしています。
  • 寄せられたお声は、翌日までに「日報」として社内共有する他、「月報」、「四半期報」、「トピックス」等のレポートを発信するとともに、お客様相談室の社内ポータルサイトで常時掲載し、全従業員に共有する取組みを継続しています。
  • お客様相談室に電話やメールをいただかなくとも、お客様の商品やサービスに関する疑問点をご自身で解決していただけるよう、お客様相談室ホームページの「よくあるご質問」の更新頻度をアップするとともに、動画での回答も始めました。また7月には、AIチャットボットを導入し、お客様からお問い合わせをいただく手段を増やしました。
  • KIRINの公式ツイッターに寄せられたお声のうち、「商品が見つからない」などのお客様のお困りごとに、お客様相談室をご案内することで販売店をご紹介しています。
  1. ご指摘=商品やサービスに対するお客様のご不満が形となって現れたもののこと。
(2)お客様の声を改善につなぐ仕組み
  • お客様から寄せられたご意見やご要望を取り入れ、商品やサービスの開発、改善、充実を図るために、お客様相談室と研究開発、製造、販売、企画などの関連部門が集まる“改善ミーティング”を毎月開催し、改善につなげてまいりました。改善につながった代表的な事例はホームページでご紹介しています。

4.社会課題の解決に資する商品・サービスの開発・提供(CSVの推進)

  1. お客様の健康増進につながる商品・サービス・事業を創造します。
  2. 事業活動を通じた地域活性化や、サプライチェーンの持続可能性強化により、地域社会へ貢献します。
  3. 事業活動における環境負荷軽減の取り組みを進めていきます。

2019年 主な取組・成果

(1)お客様の健康増進につながる商品、サービス、事業の創造
  • キリンの30年の研究から生まれた「iMUSE」ブランドを、キリンホールディングス、キリンビバレッジ、小岩井乳業、協和発酵バイオなどのグループ会社を横断して展開し、健康維持をサポートするブランドとして育成しています。
  • 第一弾として展開しているのが“プラズマ乳酸菌”シリーズです。“プラズマ乳酸菌”を長時間前発酵させた小岩井ならではのヨーグルトである、「小岩井iMUSE(イミューズ)生乳(なまにゅう)ヨーグルト」100g、「小岩井iMUSE(イミューズ)ドリンクヨーグルト」115gに加えて、2019年は、「小岩井iMUSE(イミューズ)生乳(なまにゅう)ヨーグルト」400gを発売し、お客様が“プラズマ乳酸菌”を摂取できる機会をさらに拡大しました。
  • また、キリンホールディングスからは、ブランドの第二弾として展開している“KW乳酸菌”で目の疲労感を軽減する新しい習慣をご提案しています。“KW乳酸菌”に目の疲労感を軽減する機能があることを世界で初めて確認し※3、目の疲れを感じている方に向けて、“KW乳酸菌”を配合した機能性表示食品「iMUSE eye KW乳酸菌(イミューズ アイ KW乳酸菌)」を発売しました。
  1. 目の疲れを感じている方の目の疲労感を軽減することが世界で初めて報告された乳酸菌。(2019年11月15日ナレッジワイヤ社調べ、PubMed及び医学中央雑誌webの掲載情報に基づく)
(2)事業活動を通じた地域活性化や、サプライチェーンの持続可能性強化による 地域社会への貢献
  1. お客様が家族や仲間と過ごす機会を増やすとともに、サプライチェーンに関わるコミュニティを発展させる取り組み
    • 年々減少する“ビールの魂”と言われる原材料「ホップ」の国内での生産を継続するため、行政、生産者、地域の皆様と共に、生産地の活性化に向けた取り組みを継続して行っています。2019年はキリンが開発した日本産ホップの新品種を使用した商品「MURAKAMI SEVEN IPA」を6月に発売。9月には全国のクラフトブルワーに今年とれたての日本産ホップを提供し、その特徴を活かしたビールを各々持ちよって楽しむイベント“Fresh Hop Fest”を開催しました。全国104社のクラフトブルワーが参画するなど、ビール市場の活性化に向けた取り組みが全国で加速し、ビールを通じて人と人のつながりを増やしています。
  1. 「シャトー・メルシャン事業を通したワインぶどう生産地活性化取り組み」が第5回2019年度ACAP消費者志向活動表彰にて「消費者志向活動章」を受章しました。
    • キリングループのメルシャンは、“シャトー・メルシャン”事業を通して、世界に認められる日本ワインの発展を牽引するとともに、ワインづくり、ぶどうづくりを支える産地の活性化に貢献することを目的に、ワイン産業を支える人材育成、遊休農地の活用、草原・絶滅危惧種再生や地元人材雇用機会の創出などに取り組んできました。
    • 2019年9月に長野県上田市にオープンした、“シャトー・メルシャン椀子ワイナリー”では「地域との共生」、「自然との共生」、「未来との共生」という3つの共生を柱として“地域と調和するワイナリー”を目指して活動しています。
(3)事業活動における環境負荷軽減の取り組み
  • 2013年に地球環境の課題認識を発展させ、2050年を見据えた長期戦略「キリングループ 長期環境ビジョン」を策定し、その実現に向けて事業を展開してきました。しかし、パリ協定を起点に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」などの国際的なイニシアティブが数多く立ち上がり、また、プラスチックによる海洋汚染が世界的な問題として議論されるなど、環境に対する世界の動向は大きく変わってきています。さらに、企業が行う環境に対する取り組みについても、自社で完結するものから、社会全体へポジティブな影響を与えられるものへと変化してきています。こうした中、2019年からキリングループでは従来の環境ビジョンの見直しを行い、社会と企業のレジリエンス強化へ向けた新たなビジョン「キリングループ環境ビジョン2050」を2020年2月に策定しました。わたしたちはこの新しいビジョンの下、これからの世代を担う若者をはじめとする社会とともに、こころ豊かな地球を次世代につなげていきます。
  • この「キリングループ環境ビジョン2050」では「生物資源」「水資源」「容器包装」「気候変動」の4つの柱を重要なテーマとして掲げおり、商品をお届けするために必要な「容器包装」では、2020年末までに酒類・清涼飲料など国内の飲料グループ会社の紙製容器包装に使用する全ての紙を、FSC®認証紙へ100%切り替えることを目指して様々な取り組みを行ってきました。その結果、2019年11月末時点でキリンビールとキリンビバレッジでFSC®認証紙の採用100%を達成することができました。このような取り組みは、貴重な森林の保全と気候変動問題への対応につながっています。

以上

2020年3月23日
キリンホールディングス株式会社 代表取締役社長

磯崎 功典