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社長メッセージ絶対的に信頼される企業を目指して

コーポレートガバナンスのさらなる強化

中長期での持続的な企業価値向上を実現していくためには、これまで述べた価値創造基盤と戦略の遂行を支える、企業としての土台を盤石なものとする必要があります。また、CSVを掲げるキリングループにとって、様々なステークホルダーからの信頼獲得は極めて重要です。これが、ESG※1課題への取り組みにおける私たちの考え方です。
まず、コーポレートガバナンスをさらに強化します。キリンホールディングスでは、2016年度に、監査役を含むボードメンバー14名のうち半数の7名を社外役員(うち6名が独立役員)とし、社外役員から取締役会の議長を選任すると同時に、指名・報酬諮問委員会への改組に際しては、5名中3名を社外取締役、委員長も社外取締役とする改革を実施しました。取締役会では、従来以上に活発な議論が尽くされ、経営監督機能は大きく向上しており、今後の業績向上にもつながっていくと確信しています。さらに2017年度は、単年度の計画達成と中長期での企業価値の向上の双方に対するインセンティブを高めるべく、役員報酬制度を刷新しました。私を含めた経営陣による経営計画達成へのコミットメントにより、業績向上を積み重ね、株主との価値共有をさらに促進します。

  • ※1Environmental(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治:ガバナンス)に関する課題。社会と企業の持続的成長のためにこれらの課題への取り組みが提唱されている。

人と組織風土の変革

ビジョン・戦略がいくら正しくても、それを実行するのは人と組織であり、その能力が最大限引き出される体制が整っていなければ、絵に描いた餅になると私は考えます。キリングループが目指すのは、「厳しくて、温かい会社」―つまり、実力主義であり、従業員が新たな価値の創造に向かって常にチャレンジしながら活き活きと働き、仕事を通じて成長できる環境を備えた会社づくりです。そのために、リーダーシップの変革をベースとして、人材配置・育成のあり方や働き方を改革していきます。加えて、新しい価値創造のためには、多様性に富み、そのパワーが最大限に発揮される組織風土をつくることが重要です。女性の活躍推進を中心として、積極的に取り組みを展開していきます。

資源循環100%社会の実現へ

自然の恵みを利用してお客様に商品を届ける私たちにとって、環境問題への取り組みは不可欠です。中でも地球温暖化に対しては、世界各国が連携して本格的な対策に着手しており、キリングループとしても積極的に貢献すべきと考えています。その第一歩として、2017年より、日本企業の国内使用分としては最大級の規模で再生可能エネルギーを導入します。長期的なコスト最適化にも寄与すると考えています。これからも、資源循環100%社会の実現を目指し、様々な施策を実行します。

株主価値の一層の向上に向けて

当社では、これまでも安定配当、自己株式取得などを通して、株主還元に対しては積極的に取り組んできました。今後も引き続き平準化※2EPSの30%以上の配当を安定的に実施することで、グループの成長の果実を適切かつタイムリーに、株主の皆様にご享受いただきたいと考えます。
もちろん、株主価値は配当だけで向上できるものではなく、株価を意識した経営を一層前進させる必要があります。役員報酬制度の刷新により、役員に株式を直接交付する制度を導入するとともに、報酬と業績との連動性をさらに高めます。

  • ※2特別損益等の非経常項目を除外し、より実質的な収益力を反映させるための調整。

ステークホルダーの皆様へ

キリングループは、社会から愛され、信頼され、株主・従業員・取引先など全てのステークホルダーから「存在価値が高く、社会に欠くことができない」とご評価いただける企業の実現を目指します。
2016年度の良い流れを本物にできるよう、全力で取り組んでまいりますので、ステークホルダーの皆様におかれましては、引き続きのご支援をよろしくお願い申し上げます。

経歴

磯崎功典

1977年キリンビール株式会社入社。経営企画部門を中心に、国内支店、事業開発(国内、ロサンゼルス)、米国コーネル大学ホテル経営学部への留学、グループのホテル事業、広報、サンミゲル(フィリピン)副社長等を経験。
2010年キリンホールディングス株式会社 常務取締役、2012年キリンビール株式会社 代表取締役社長、2013年キリン株式会社 代表取締役社長を経て、2015年3月キリンホールディングス株式会社 代表取締役社長に就任。