ヘルスサイエンス戦略担当役員メッセージ

2024年5月31日

プラズマ乳酸菌をはじめとした独自素材や技術を強みに
アジア・パシフィック最大級の
ヘルスサイエンスカンパニーを目指す

キリンホールディングス株式会社
取締役常務執行役員
𠮷村 透留

「土台の健康づくり」と個別の健康課題の両面から取り組む独自のアプローチ

キリングループは世界のCSV先進企業を目指し、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでいます。「健康」という社会課題は、新型コロナウイルス感染拡大のインパクトからもご理解の通り、社会的価値、経済的価値両面で大きな意味をもつ領域です。当社グループは、100年以上にわたるビール事業から連綿と続き、40年前の医薬事業への参入をも可能にした、発酵・バイオテクノロジーをヘルスサイエンス領域に応用し、世の中の健康課題解決に貢献していきます。

そして健康課題の解決にあたり大事にしているのが、人間が元来もっている力を高めるという当社グループ独自のアプローチです。この考え方に基づき、人種や性別、年齢に関係なく全ての人にとって重要な免疫力に注目した「土台の健康づくり」と、生活習慣病や脳機能といった「個別の健康課題」解決の両面で取り組んでいます。

  • 独自のアプローチによる健康課題の解決。従来のように個別の健康課題にそれぞれ対処するのではなく、人間が元来もっている力を高めるという考えに基づいた、土台の健康づくりと個別の健康課題、両面から働き掛ける独自のアプローチにより、根本的かつ効果的な解決に導く。

  • 独自のアプローチによる健康課題の解決。従来のように個別の健康課題にそれぞれ対処するのではなく、人間が元来もっている力を高めるという考えに基づいた、土台の健康づくりと個別の健康課題、両面から働き掛ける独自のアプローチにより、根本的かつ効果的な解決に導く。

  • HS担当02

各社の強みとシナジーを最大化し、グループ一体で歩みを加速させる

当社グループのヘルスサイエンス領域の強みは、食と医とヘルスサイエンスという3領域にまたがる事業を展開するグループの力を最大限生かせることです。発酵・バイオテクノロジーをはじめ、食領域で培ったお客様との関係構築力や医領域における知見は、ヘルスサイエンス領域でも最大限発揮されています。特に、2022年にヘルスサイエンス事業本部が立ち上がって以降は、R&Dにとどまらず、さまざまな分野で事業会社間の連携がスムーズになり、ヘルスサイエンス領域に携わる各事業会社が同じゴールに向かって、スピード感をもって進むことができています。

例えば、当社グループの独自素材、プラズマ乳酸菌を活用した事業は、グループ各社のみならず、国内外のパートナー企業とも協働することで、より多くのお客様が、いつでもどこでも、手軽に「免疫ケア」ができるよう、幅広いラインアップでの展開を実現させてきました。プラズマ乳酸菌を取り入れた商品は、現在16社計59商品にまで広がっています。

ヘルスサイエンス領域を成長ドライバーと位置付けるキリンビバレッジが新たな市場を形成し、小岩井乳業がヨーグルトに加えプラズマ乳酸菌の菌体製造で大きく貢献し、協和発酵バイオはグローバルでの規制対応や販売での重要な役割を担い、ファンケルが健康食品における顧客接点の基盤をつくり、さらにパートナー企業からさまざまなカテゴリーの商品が広がるというように、グループが同じベクトルで取り組んできた結果、2023年の売上収益200億円の達成につながりました。

今後はこのようなグループ一体となった取り組みをさらに強化し、よりスピード感をもって事業を推進していきたいと考えています。2024年は、昨年のブラックモアズ(Blackmores)買収によりさらに強化された、当社グループの強みでもあるコンシューマービジネスを基盤としたブランドビジネスの拡大に注力しています。得意領域にリソースを集中させることで、各事業会社の強みとシナジーを最大限引き出し、事業成果の創出を早期に実現していきます。そして、日本を含むアジア・パシフィックの多くのお客様の健康課題に寄り添い、解決に貢献する、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーを目指していきます。

しかしそれを下支えするのは変わらず、当社グループならではのR&D能力であり、お客様との関係構築力です。ブラックモアズから得た新たな知見も生かし、お客様のニーズを踏まえた機能性素材や商品の開発、それを届けるための各組織能力を強化していきます。またその一環として、協和発酵バイオの再生と強固な事業基盤づくりを引き続き重点課題と位置付け、構造改革の推進とスペシャリティ事業への集中、そして信頼の回復に取り組んでいきます。

ヘルスサイエンス領域を成長させ、当社グループを支える新たな柱に

ヘルスサイエンス領域は当社グループの中ではまだ新しい事業です。焦らずにしっかりと育てていかなければならない難しさもありますが、当社グループを挙げての支援・応援を受けており、携わる人たちも強い情熱をもって取り組んでいます。この春にヘルスサイエンス本部長に就任した私自身も、強い使命感とワクワクした気持ちを感じています。それは、当社グループならではの強みを最大限活用して私たちが提供する健康価値の先には、お客様の幸せ、笑顔があるからです。まずはアジア・パシフィックで事業基盤を確立し、組織能力を蓄積しながら収益力を高め、中長期的には北米をはじめとした新たな成長と収益が見込めるエリアへの拡充や、イノベーションによる商品・サービスのポートフォリオの拡充を通じて、世界のさらに多くのお客様に健康と笑顔をお届けしていきます。そして、その思いを胸に、ヘルスサイエンス領域を当社グループの経営を支える新たな柱に成長させていきます。