多様な人財と挑戦する風土
2024年5月31日
キリングループの人事の基本理念
人財戦略の基盤となる基本理念は、人間の無限の可能性を信じる「人間性の尊重」という考え方で、キリンビールの醸造フィロソフィーである「生への畏敬」にも通じます。従業員一人一人が、新たな価値創造に向かって挑戦し、活き活きと働くことで、仕事を通じて成長し続ける環境を提供していきます。
キリングループらしい人財戦略で目指す「人財が育ち、人財で勝つ会社」
キリングループでは、人財を価値創造、競争優位の源泉と位置づけ、人財に投資していくことで、「人財が育ち、人財で勝つ会社」を目指します。経営戦略が人財戦略の方向性を規定すると同時に、人財のケイパビリティは将来の経営戦略を策定する重要な要素となり、経営戦略の可能性を広げます。そのキーとなるのは「専門性」と「多様性」です。従業員がそれぞれの専門性を高めるとともに、食からヘルスサイエンス・医領域にわたるユニークな事業ポートフォリオの中で多様な事業経験と多様な視点を養う環境を提供し、専門性と多様性を兼ね備えた人財を育成していきます。また、外部人財や障害者の採用、女性の活躍推進に加え、多様な価値観を受容する組織風土を醸成するとともに、組織やチームを超えた共創を増やすことで、CSV経営を推進し、グループの持続的成長と企業価値向上を実現していきます。
グループ経営課題から見る人財戦略の課題
人財戦略では、短期的に事業ポートフォリオ転換の実行性を高める組織能力の強化を加速するとともに、中長期では専門性と多様性を兼ね備えた人財を輩出します。
現時点では、経営戦略と人財戦略の連動を踏まえて5つの課題を捉えています。
- 事業ポートフォリオ転換に伴う、組織能力の強化(ヘルスサイエンス・新規事業など)
- 将来を見据え、先が見えない時代にこそ求められる、専門性・多様性の人財マネジメント
- 挑戦する人財とそれを支える風土づくり = 高度な戦略を実現する、戦略実行力
- 労働市場や個人の価値観の変化に対応した、働きがいの創出
- 人的資本への注目を契機とした、ステークホルダーとの対話による戦略進化
人財戦略を価値創造につなげるストーリーと開示指標
人財戦略の課題や重点取り組みは、国・地域、事業によって異なる場合もありますが、人財戦略を価値創造につなげていくストーリーは共通です。持続的な成長・企業価値向上には、人財と組織の両面の「専門性」と「多様性」を高める必要があり、「キリンらしい人財戦略」を推進すべく、グループ共通で、Well-being、Growth、DE&I、KABEGOEの4つのキーファクターとそのストーリーを設定しました。
従業員が活き活きと働き、自らの仕事へのやりがいを生み出す環境を整えることで、グループ理念・価値観・CSVへの共感やエンゲージメントを高めます。(Well-being)
そして、グループへの貢献と自らの成長につながるWillを起点とした自律的なキャリア形成によって、主体的に専門性を磨くとともに、多様な経験を通じて価値観を豊かにし、個人の内なる多様性を高めます。(Growth)
また、自分らしく活躍するとともに自分とは異なる多様な価値観を受け入れ、組織・チームとしての多様性を受容するカルチャーを醸成します。(DE&I)
さらに、何事にも興味をもち、新たなアイデアや価値を仲間とともに創り出すマインドを育み、事業を越え、専門性と多様性のあるさまざまな人財との共創機会を増やします。(KABEGOE)
このように、CSV経営を通じた価値創造によって、持続的な成長と企業価値向上を加速させていきます。
Well-being、Growth、DE&I、KABEGOEの4つのキーファクターを軸とした「キリンらしい人財戦略」ストーリーをベースに、下記の指標を設定しました。今後もステークホルダーとの対話を通じて、人的資本経営を継続的に進化させていきます。
- 理念・価値観・CSVへの共感(エンゲージメント調査の持続可能なエンゲージメント)*Well-being
- 専門性と多様性の人財育成(機能軸のタレントマネジメント/2領域以上経験者)*Growth
- 多様性を受容するカルチャー(エンゲージメント調査の多様性インデックス)*DE&I
- KABEGOE(グループ内外を巻き込んでCSVを体現したキリンらしいチャレンジ)*KABEGOE
人的資本開示指標
独自性項目
指標項目 | 補足 | 2021 | 2022 | 2023 | |
---|---|---|---|---|---|
独自性 |
理念・価値観・CSVへの共感 |
キリングループの理念・価値観・CSVへの共感と愛着を持ち、体現に向けた意識を持つ状態を表す指標を設定 | 72 | 70 | 70 |
専門性と多様性の人財育成 |
|
- | - | 34.2% | |
多様性を受容するカルチャー |
個・組織の多様性向上に向けて、自分らしく活躍するとともに自分とは異なる多様な価値観を受容する意識を持つ状態を表す指標を設定 | - | 68 | 69 | |
KABEGOE |
グループ内外で巻き込んで共創したキリンらしいチャレンジ数として「キリングループ・アワード」応募者数※2を設定 | 12.6% | 23.1% | 36.1% |
- グループ内で4領域(食、ヘルスサイエンス、医薬、その他)勤務経験、海外勤務経験、およびグループ外勤務経験のいずれかの経験を1カウントとし、2カウント以上の経験者人数を算出
- グループ全従業員の中で、キリングループ・アワードへの応募者延べ人数を算出
事例
グループ理念・価値観・CSVの体現を称える「キリングループ・アワード」
当社グループの理念・価値観・CSVを体現した取り組みを表彰する「キリングループ・アワード」は、国や地域、事業を越えたさまざまな専門性と多様性のある人財との共創機会を称える場です。2023年に、さらなるグループ一体感の醸成を図るために、従業員をより主役と位置づけた内容に刷新するなど、今後も進化し続けます。
事例
個人の価値観を豊かにし、多様性を受容するカルチャーを育む越境体験
グループの越境体験は、多様な経験を通じて個人の価値観を豊かにすることに加えて、多様性を受容する組織風土の醸成も狙いとしています。2019年の「留職プログラム制度」からスタートし、2020年には「副業」を解禁して、外部からの副業受け入れも開始しました。さらに、2021年以降は、延べ27社の企業間相互副業へと幅を広げていきます。