お客様主語のマーケティング力
2024年5月31日
キリングループのマーケティングの強み・特徴、全体方針
2022年春に、各事業会社にあるマーケティング機能に横串を刺し、キリングループ全体のマーケティングを統括するマーケティングセントラルチームをキリンホールディングスに設置しました。これによりお客様主語のマーケティング力を高め、環境変化に応じた迅速な判断と実行力で、変革を推進してきました。
さらに、お客様を一番に考え、潜在的なニーズやウォンツを掘り起こす、お客様主語のマーケティング能力のさらなる向上に向けた機会を以下の通り設定し、取り組みを進めています。
- CSV経営の根幹となる「お客様理解力」について、グループ全体でさらに高いレベルへ引き上げ
- 新事業領域におけるマーケティング・ケイパビリティの創造
- 将来を見据えた、グループ視点の人財育成と活用
- グループ本社による事業会社個別の課題解決支援と、事業会社を超えた連携の創出
課題と去年からの進捗
2022年中計の重要課題の一つであるヘルスサイエンス領域の規模拡大を目指すべく、事業会社の垣根を越えてマーケティング能力を結集させ、取り組みを進めています。その代表例として健康な人の免疫機能維持に役立つ、当社グループの独自素材であるプラズマ乳酸菌は「キリン おいしい免疫ケア」シリーズ、「iMUSE」サプリメントシリーズ、「小岩井 iMUSEヨーグルト」シリーズ、ファンケルが販売する「免疫サポート」など多くの商品に配合されています。
当社グループはお客様の心と体の健康と、より良い社会に貢献している企業と認識されることで、信頼と企業への好意度の向上を目指しています。一方、当社グループの"体の健康"イメージ浸透はまだ十分ではないことは課題であり、より多くのお客様に免疫ケアの重要性をご理解いただき、習慣的にプラズマ乳酸菌関連商品を手に取っていただく必要があります。そのためには新しいコミュニケーションの開発が求められます。
また、当社グループが健康に対し真剣に向き合う企業であることをより多くのお客様に知っていただくためには、企業レベルでのアクションとコミュニケーションが不可欠と考え、並行して取り組みを進めました。
戦略、取り組みの柱
こうした課題の下、マーケティングセントラルチームは、当社グループの各事業会社を支援すると同時に、企業ブランドマネジメントにも挑戦しています。中でも優先的に取り組んでいることは当社グループの"体の健康"イメージを徹底的に強化していくことです。「キリン おいしい免疫ケア」シリーズをはじめとした、プラズマ乳酸菌関連商品ブランドと企業ブランドのコミュニケーションを並走させ、お客様の記憶に残す新たなマーケティングで成果を上げることを目指します。また、各事業会社の成長に向けた取り組みも進捗しており、「キリン一番搾り® 糖質ゼロ」のリニューアルやライオン(Lion)の注力ブランドの伸長など、目に見える実績として成果も出始めています。
事例
健康に向き合うイメージを強化しKIRINブランドの価値を高める
キリンホールディングスは官民連携プロジェクトとして、2023年5月に「げんきな免疫プロジェクト」を開始しました。国民的人気者であるNHK「チコちゃんに叱られる!」の「チコちゃん」が、水色の衣装で登場し、全国のさまざまな生活シーンで免疫ケアの重要性を発信してきました。
プロジェクトの一環として、体調管理が必要となる冬を目前に、2023年11月には「全国統一免疫対策テスト」 をWebや交通広告で展開。今まで情報が届きにくかったお客様にも、免疫ケアについて知っていただく機会を創出できました。
さらに当社グループは、お客様の健康に真剣に向き合う企業であることを体現するため、免疫ケアを浸透させていく企業レベルでのアクションを2023年4月にスタートさせました。「私たちの健康を守ってくれている人の健康こそ守りたい」をコンセプトにしたこの取り組みでは、病児保育士や助産師といった、健康を支える仕事に携わる方々に対し、免疫ケア商品を提供することで健康づくりに貢献しました。その一例として、「助産師さんのために、私たちができることはなんだろう?」という問いから始まったプロジェクトの一環で「免疫ケア サポートベンダー」を愛和病院(埼玉県川越市)に設置しました。
この一連の取り組みは、「あなたが、しあわせになる。ひとつ、世界が良くなる。」というメッセージとともに、新しいコーポレートCM「助産師編」として、2023年12月より放映されました。
企業姿勢を伝えるテレビCMやデジタルにおけるコミュニケーションは、当社グループの"体の健康"イメージ強化と、共感・信頼の醸成につながっています。事業会社でのマーケティング活動に加えた、これらの取り組みによる免疫ケアニーズの創造により、プラズマ乳酸菌シリーズの2023年の販売金額は、前年比約4割増で、目標であった200億円を達成しました。
また、テレビCMに接触することによる、当社グループへの健康イメージのブランドリフト効果も確認されています。企業イメージを確認するお客様調査において、10年以上前は「ビール」のイメージが主でしたが、直近の調査では「ビール」「飲料」に加えて「免疫ケア・プラズマ乳酸菌」など、体の健康に関する連想も発現しており、狙っている企業イメージの獲得が着実に進んでいます。
今後も、明るく健康で生き生きと過ごせる社会の実現を目指し、プラズマ乳酸菌関連商品のラインアップ拡充や、より多くのお客様に免疫ケアの重要性を知っていただけるよう、取り組みを進化させます。また、お客様の健康に真剣に向き合う企業であることのイメージを強化するコミュニケーションを行い、「KIRINブランド」の価値を高めていきます。