長期経営構想・中期経営計画
長期経営構想 キリングループ・ビジョン2027(KV2027)
再⽣から成⻑に向かうにあたっての課題認識
- 成⻑を続けていくための第⼀条件は、盤⽯な既存事業の更なる強化
- キリングループが事業を展開する⾷から医にわたる領域で顕在化する「QOLの向上」、「疾病の予防」等の社会課題は成⻑機会となりうる
社会の変化
- 世界的に⼤規模な⾃然災害が発⽣している
- 既存の産業構造が劇的に変化し、より先⾏きが不透明な時代となっている
- 社会課題解決への貢献が企業に期待されている
市場環境の変化
- 先進国ビール市場の成熟化、世界的なクラフト化やプレミアム化が進⾏する
- アルコール規制や砂糖税導⼊圧⼒が更に⾼まる
- 医療費抑制政策が進展する
持続的な成⻑に向けたグループ事業領域の再定義
食から医にわたる領域における価値創造に向けては、既存事業領域である「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループならではの強みを活かした「ヘルスサイエンス領域」を立ち上げました。「ヘルスサイエンス領域」では、キリングループ創業以来の基幹技術である発酵&バイオテクノロジーに磨きをかけ、これまで培ってきた組織能力や資産を活用し、キリングループの次世代の成長の柱となる事業を育成していきます。
長期経営構想「KV2027」及び2022年-2024年中計
キリングループ2022年-2024年中期経営計画
2022年2月14日発表
事業環境について
持続的成長のための経営諸課題「グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM」
社会とともに、持続的に存続・発展していく上での重要テーマを、「持続的成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM)」に整理し、事業へのインパクトとステークホルダーへのインパクトの2つの観点から評価しています。GMMは時間の経過とともに変化していくものと捉え、中期経営計画策定(3年)ごとに再評価し、改訂しています。
2022年の改定では、社会課題の解決を事業機会と捉えるCSV経営を進めるため、新型コロナウイルス感染症の拡大をはじめとする環境変化やステークホルダーからの期待を踏まえて、GMMの粒度を細分化して重要性を再評価することにより、社会的要請への適合度を高めました。
- GMMの再評価を踏まえて、「地域社会・コミュニティ」を「コミュニティ」へと再定義しました。
- 各象限内の重要性に差異はありません。
基本方針
2021年までに実現した成果を基礎として、成長を加速させる
- ポストコロナを見据えた事業構造改革の実行
- 新たな価値創造
重点課題
- キャッシュ創出をリードする食領域での利益の増大
- 将来の大きな柱となるヘルスサイエンス領域での規模の拡大
- グローバル・スペシャリティファーマの地位を確立する医領域でのグローバル基盤の強化
重要成果指標
財務目標※1
・ROIC※2 |
2024年度 |
10%以上 |
---|---|---|
・平準化EPS※3 |
年平均成長率 |
11%以上 |
- 財務指標の達成度評価にあたっては、在外子会社等の財務諸表項目の換算における各年度の為替変動による影響等を除く。
- ROIC=利払前税引後利益/(有利子負債の期首期末平均+資本合計の期首期末平均)
- 平準化EPS=平準化当期利益/期中平均株式数
平準化当期利益=親会社の所有者に帰属する当期利益±税金等調整後その他の営業収益・費用等
非財務目標
項目 |
テーマ |
非財務指標 |
2024年目標 |
環境 |
気候変動 |
GHG削減率 |
23%(2030年50%) |
---|---|---|---|
容器包装 |
PETボトル用樹脂のリサイクル樹脂使用率 |
38% (2027年 50%) |
|
水資源 |
水ストレスが高い製造拠点※5における用水使用原単位 |
3.0kl/kl以下(2025年 2.4kl/kl以下) |
|
健康 |
中期ヘルスサイエンス戦略推進 |
「免疫の維持支援」達成度 |
①45%(2027年 50%) |
「免疫・脳機能・腸内環境領域における新価値創造」浸透度および |
非開示※4 |
||
従業員 |
組織風土 |
従業員エンゲージメントスコア |
75% |
多様性 |
「多様性向上」達成度※6 |
①15% |
|
労働安全衛生 |
休業災害度数率※7 |
0.95 (日本:0.40) |
- 知的財産に関する内容等を含むため、具体的な構成指標および目標水準は戦略上非開示。
- ライオンのTooheys Brewery、Castlemaine Perkins、James Boag Brewery
- 集計対象はキリンホールディングス社原籍社員。
- グループ内で生産・物流機能を有する主要なグループ会社を対象とする。工場構内のパートナー会社も含める。
財務方針
中計3年間で創出する営業キャッシュ・フローの総額は約7,000億円を想定しています。資金使途として最も優先順位の高い配当金については、平準化EPSに対する配当性向40%以上を継続します。次に、設備投資は合計約4,000億円を見込んでいます。通常の設備投資となる基盤投資に加え、3領域の新たな成長に向けた投資枠を区分し、企業価値向上に繋げます。
オーガニック成長に加えて、さらなる規模の拡大を目指すべく、M&A投資の機会についても探索します。特に、重点課題②に示すヘルスサイエンス領域においては、国内外で幅広く機会を検討していきます。なお、M&A投資を行う際の原資は、バランスシートのスリム化やポートフォリオマネジメントによるノンコア事業の売却で賄うことを基本とします。
2022年中計ではバランスシートマネジメントのさらなる強化に取り組みます。2021年に導入したグローバルキャッシュマネジメントシステムを通じて、国内外のグループ会社が保有するキャッシュの一元管理による運転資金の最適化や、SCM※7の効率化によるキャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善などにより、中計3年間で約1,000億円規模のキャッシュを創出します。また、事業ポートフォリオについては、取締役会での継続的な議論により、ノンコアと判断した事業の売却を検討していきます。
これら、バランスシートマネジメント、ポートフォリオマネジメントにより創出したキャッシュは、将来の成長ドライバーを獲得するためのM&A投資に優先して振り向けます。一方、自己株式の取得を中心とする追加的株主還元については、投資機会や、キャッシュイン/アウトのバランスを考慮しながら機動的に判断していきます。
- サプライ・チェーン・マネジメント(Supply Chain Management)の略。原材料の調達、工場での生産、商品の需給・物流の供給連鎖を効率よく構築し管理することを指す。
非財務方針
2022年中計基本方針に従い、非財務への取り組みもより強化していきます。ポストコロナを見据えた「イノベーションを実現する組織能力」の強化や、キリングループのDNAである品質本位の徹底、効率と持続可能性を両立するSCM体制の構築、価値創造を支えるガバナンスの強化により、強固な組織基盤を構築します。また、経済価値へ直接的につながるように、組織能力強化に加えてステークホルダーからの期待を踏まえ、非財務目標を再設定しました。価値創造モデルのInput~Business~Outputを強化し、より大きなOutcome創出に繋げ、CSV経営を推進します。
CSVガバナンス体制
CSVコミットメント
非財務情報の開示
キリングループは、気候変動に関わる問題をはじめとして、社会と企業に与えるリスクと機会や戦略のレジリエンスを評価し、幅広いステークホルダーへ積極的な情報開示を行っています。
TCFD
コーポレートガバナンス
重要成果指標(財務目標・非財務目標)及び単年度連結事業利益目標の達成度を役員報酬に連動させることにより、株主・投資家との中長期的な価値共有を促進しています。
業績評価指標 | |
年次賞与 |
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---|---|
信託型株式報酬※8 |
|
- 売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、事業の経常的な業績を測る利益指標です。
- 業績評価期間の翌年に業績目標の達成に応じたポイントを付与し、原則として、業績評価期間の開始から3年が経過した後の一定の時期に付与されたポイントに相当する数の株式が交付されます。
- 非財務指標は、「環境」「健康」「従業員」の3つの項目について、項目ごとに定められた具体的な指標の達成度に応じて項目別に評価を行った上で、それらの評価結果および定性面の考慮を踏まえた総合評価で決定します。